成人の日に大人へと成長していく心理学的な過程!?

 

皆さん、こんにちは。

 

今日は成人の日ですね。本来であれば各地で成人式の催し物が開かれて、振袖を着た新成人達の映像が各地で流れている時期です。しかし、今回はコロナウイルスの影響で実施していない自治体や規模を縮小しているところがほとんどですね。

 

日本では20歳になると成人ということで大人の仲間入りとされていますが、果たして心理的には大人と言っていいのでしょうか。実は20歳頃を心理学では、青年期と呼び自分自身というものを確立していく時期(アイデンティティを獲得していく時期)であるとされています。

 

そこで今回は、エリクソンという心理学者が考えた人の心理的な発達段階をご紹介してから、今年成人式を迎える人がどのようにして自分が自分であるというアイデンティティを獲得していくのかということをお話したいと思います。

 

人間の8つの発達段階・ライフサイクル論

 

心理学者のエリク・H・エリクソンは人間の発達を8つに分けて、それぞれの発達段階での課題とアイデンティティ理論について提唱しました。

そして、それぞれの発達段階において、心理社会的危機があるとされており、それを乗り越えていく必要があると言われています。

 

心理社会的危機を乗り越えていくことによって、自分とは何者であるのかというアイデンティティを獲得されると言われています。

 

発達段階は、以下の8つの時期に分かれており、それぞれの心理的課題と危機は以下のようになっていると言われています。

 

時期 心理的課題 危機
幼児期(0歳~1歳) 信頼 不信
幼児期初期(1歳~3歳) 自律性 恥と疑惑
幼児期後期(3歳~6歳) 積極性 罪悪感
学童期(6歳~12歳) 勤勉性 劣等感
青年期(13歳~22歳) 自我同一性 自我同一性拡散
成人期(22歳~40歳) 親密性 孤立
壮年期(40歳~65歳) 生殖性 停滞
老年期(65歳~) 統合性 絶望

 

それでは、それぞれの発達時期における課題と危機について見ていきたいと思いまいます。

 

第一段階 幼児期(0歳~1歳)

 

(心理社会的課題と危機)信頼 VS  不信

幼児期は、母親と過ごす日々の中で感情が育っていきます。母親を含めた周囲の人から適切なケアを受けることによって、赤ちゃんの中で周囲に対する信頼感を獲得していきます。親の不在や適切なケアを受けられないと不信感を持ち、情緒の発達に影響を来たすと言われています。この心理社会的課題と危機の獲得に成功すると「期待」を得ることができると言われています。

 

第二段階 幼児期初期 (1歳~3歳)

 

(心理社会的課題と危機)自律性 VS 恥と疑惑

幼児期前期では、徐々に意識を本人が持ってくる段階です。言葉の急速な発達と共に自ら行動していくようになる段階で自律性を獲得していきます。ただ、間違ったことをしてしまったり、うまくいかない葛藤から恥と疑惑を持つと言われています。この心理社会的課題と危機の獲得に成功すると「意欲」を得ることができると言われています。

 

第三段階 幼児期後期 (3歳~6歳)

 

(心理社会的課題と危機)積極性 VS 罪悪感

幼児期後期では、幼稚園や保育園などで友達と積極的に遊ぶ時期です。自律性が生まれて、自分で考えて、行動するようになる段階で積極性を獲得していきます。集団との関りから社会的規範を身に付けていきます。しかし、その際に周りから注意されたり、叱責されることによって罪悪感を持つと言われています。この心理社会的課題と危機の獲得に成功すると「目的」を得ることができると言われています。

 

第四段階 学童期 (6歳~12歳)

 

(心理社会的課題と危機)勤勉性 VS 劣等感

学童期では、家庭から離れていき、小学校など同じ学年集団で生活することになる時期です。他人との関わりから、自分の得意と苦手を認識していきできるところ確認することによって自信を得て、勤勉性を獲得していきます。しかし、他者との比較からうまくいなかい部分が見えてきて劣等感を抱くかもしれません。この心理社会的課題と危機の獲得に成功すると「能力」を得ることができると言われています。

 

第五段階 青年期 (13歳~22歳)

 

(心理社会的課題と危機)自我同一性 VS 自我同一性拡散

この時期はいわゆる思春期と呼ばれる時期です。多くの異なる場面や状況において自分はなにものであるのか、自分は何者になりたいのかというのについて考えていき、自我同一性(アイデンティティ)を獲得していきます。しかし、その過程で自分とは何者かわからなくなる自我同一性拡散の状態に陥るかもしれません。この心理社会的課題と危機の獲得に成功すると「忠誠心」を得ることができると言われています。

 

第六段階 成人期 (22歳~40歳)

 

(心理社会的課題と危機)親密性 VS 孤立

成人期は、家庭や職場など現実的な役割を持つ時期です。職場や家庭などで、同性や異性を問わずに長期的な関係を重要視していき、親密性を獲得していきます。親密性を獲得していくためには、アイデンティティを獲得しなくてはいけずに、相手に受け入れられないということから孤立するかもしれません。この心理社会的課題と危機の獲得に成功すると「愛情」を得ることができると言われています。

 

第七段階 壮年期 (40歳~65歳)

 

(心理社会的課題と危機)生殖性 VS 停滞

壮年期は、次の世代を支えていくものを生み、育てる時期です。職業上の知識や技術、子育ての知識や技術を次の世代に伝えていく、生殖性を獲得していきます。次世代への関りが少なかったり、他者との関わりが薄いと停滞状態になってしまいます。この心理社会的課題と危機の獲得に成功すると「世話」を得ることができると言われています。

 

第八段階 老年期 (65歳~)

 

(心理社会的課題と危機)統合性 VS 絶望

老年期は、自分の人生が良いものに思えるかによって変わって来ると言われる人生を振り返る時期です。世の中の秩序であったり、自分自身の人生を回顧して受け入れていく、統合性を獲得していきます。死であったり、衰退していく自分を上手に受け入れられないと絶望状態になってしまいます。この心理社会的課題と危機の獲得に成功すると「賢さ」を得ることができると言われています。

 

アイデンティティを獲得するには!?

本文中で青年期を22歳としてご紹介していますが、実は青年期はだんだん長くなっていると言われており、30歳頃までとしているものもあります。つまり、それだけ現代は自分が何者であるかというアイデンティティを獲得にするのに時間がかかる時代、かけてもいい時代だとされています。ちなみにエリクソンはこの期間をモラトリアムと呼びました。

 

今年成人式を迎えた新成人の人たちはまさにこのライフサイクルでいうところの青年期のモラトリアムにあたります。モラトリアムはいろいろな体験や経験をして、いろいろな人に出会い、自分とは何者かというのを獲得していく段階です。

 

アイデンティティを獲得するためには、もしかすると遠回りと感じるかもしれないですが旅に出てみたり、自分の好きなことを探してみたりすることが近道だったりします。この青年期のモラトリアムの時に十分に悩み苦しんでおくだけでその後の人生が豊かなものになるでしょう。是非、新成人の皆さんは旅に出てみて下さい。

 

成人の日に大人へと成長していく心理学的な過程のまとめ

 

今回は、心の専門家である臨床心理士・公認心理師の筆者が、成人の日に大人へと成長をしていく心理的・社会的な過程であるエリクソンのライフサイク論についてお話をした上で、モラトリアムの時期にある新成人がアイデンティティを獲得するコツをお話しました。

 

今現在モラトリアムにある人はもちろんのこと、モラトリアムの時期は過ぎてしまったが、まだ自分が何者であるかしっくり来ていないという人は、自分探しをできるといいのかもしれません。また、自分を好きになることから始めてもいいかもしれません。

 

自己肯定感を上げて自分を好きになるための方法を臨床心理士が解説

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