臨床心理士が解説する単回性トラウマの症状と回復過程

 

皆さん、こんにちは。

 

今回は、単回性トラウマの症状とその回復過程について皆さんに、心の専門家である臨床心理士・公認心理師である筆者が解説したいと思います。

 

犯罪や災害での被害からトラウマ症状に陥ってしまう単回性トラウマと呼ばれるものを中心にお話していきたいと思います。

 

あなたの周りに犯罪や災害での被害を受けた人や、自分自身が犯罪や災害での被害を受けた人に是非読んで頂きたいお話したいと思います。

 

単回性トラウマとは何か!?

 

まず始めに単回性トラウマについてお話したいと思います。トラウマは、主に2つのタイプのトラウマがあると言われています。

 

単回性トラウマ(単回性PTSD)と複雑性トラウマ(複雑性PTSD)の2つがあるといわれています。

 

単回性トラウマは、犯罪被害や地震、火災、津波、台風、などの自然災害など一回の大きな被害を受けて、心の傷となってしまうものを言います。

複雑性トラウマは、暴行、性的被害、家庭内暴力、戦争、などの長期間に渡る複数回の被害をうけて、心の傷となってしまうものを言います。

今回は、単回性トラウマに関して、その症状と心の傷の癒えていく過程について見ていきたいと思います。

 

単回性トラウマの症状と回復過程!?

 

単回性トラウマの実際の症状について見ていきたいと思います。何かトラウマとなる出来事が起きてからどのような症状や状態を経て、回復していくのかという過程を見ていきたいと思います。

 

①そのままの記憶として保存される

 

命の危機を感じるほどの事態に遭遇すると人は、その出来事を自分の中で消化できずに人は、記憶をそのままの形で保存してしまいます。

日常でも何か嫌ことがあって気持ちが落ち着かなくなってしまうことというのは、怒ります。

 

しかし、多くの場合は自分の中で適切な処理が行われることで、その嫌なことが傷になって残るということはありません。

 

しかし、犯罪被害や災害被害のような大きな出来事を目の当たりにすると人は、その記憶をすべていっぺんに処理することができずに、記憶そのままの形でのこってしまいます。

 

②フラッシュバックが起きる

 

そのままの形で保存されている記憶が、何かの反動で思い出される事態のことをフラッシュバックと言います。

フラッシュバックが起こると、その被害にあった時と同じような被害に合っているかのように感じてしまうというのがその特徴としてあります。

 

結果として、呼吸困難になったり、発汗したり、脈が速くなるという事態が生じてきてしまいます。

 

このフラッシュバックもどのタイミングで起こるのかは人それぞれで、同じような現場に立ち入って起こることもあれば、映像を見て起こることや、一見すると関係のなさそうなものでも起きることもあります。

 

③フラッシュバックに反応する

 

先に述べたフラッシュバックが起きるようになってしまうために、人はそのような事態を避けようとします

そのようなフラッシュバックが起きるような事態が生じないように、そのような場所を「避ける」ようになるというのは一般的かもしれません。

 

また、ある人は同じような苦しみを持つ人のためという形で、「戦うこと」でフラッシュバックや辛い記憶と付き合っていこうとするかもしれません。

 

小さな子どもや、強い被害を受けた人は、避けることも、戦うこともできずに、固まってしまう場合もあります。

 

④過去を小さく、今を大きくしていく

 

今の現実の安心感や安全感を高めていくことで、過去の記憶やフラッシュバックを起こす頻度を少なくしていきます。

今ということを豊かにすることで、大きく傷として残ってしまっている過去を小さなものにしていき、今を大きなものとすることができます。

 

具体的には、今を意識できるような呼吸法やリラックス法など、身体を使って今の安心安全感を体得できるようなものを取り入れていけると良いでしょう。

 

⑤安心安全の中で語れるようになる

 

安心安全というのが十分に確保されて、自分の心も準備ができた段階で、批判を受けないような状況で、語ってみるというのは良いことです。

無理やり誰かに聞きだされた、やっとの思いで話をしたのに批判をされたというのは、トラウマの上塗りになってしまいます。

 

しかし、安心安全の状況で、辛かった過去を話しているという状態を確認できることで、トラウマ体験は凍り付いた鮮明な出来事から、過去の出来事として再編集することができるのです。

 

⑥つながりを作っていく

 

語ることで過去の記憶と再編集することができたら、同じ体験をした仲間と安心安全の仲間を作るというのも良いでしょう。

一般的に自助グループ呼ばれたり、被害者の会、何かNPOの施設で、仲間とのつながりを作っていくことも良いでしょう。

 

また、安心安全のためのネットワークの一環として、治療者や支援者とつながっておくというのも良いかもしれません。

 

⑦再発に備えていく

 

過去として語れるようになり、仲間が増えたら、再発に備えた動きを取れると良いでしょう。

再発のきっかけとしては、何周年目などの記念イベントだったり節目の年、自身にストレスがかかった時、似た気持ちを持つ体験をした時、生活環境の大きな変化、自身の子どもが同じ年齢に達した時などです。

 

このような再発のタイミングがあるかもしれないということを知っているだけでも心の準備ができますし、再発が起こりそうになったら安心安全な居場所や人で過ごしながら、無理をしないということが大切でしょう。

 

単回性トラウマの症状と回復過程のまとめ

 

今回は、単回性トラウマの症状と回復過程について、大きく7つのステップでご紹介させて頂きました。

 

この7つのステップをすんなりと行く人もいれば、多くの時間をかけながらこの7つのステップを辿る人も居ます。

 

同じ出来事体験してもトラウマになる人とならない人がいるように、その回復に関してもどのくらいの期間がかかるかは人それぞれだったりします。

 

もしも、何かトラウマ体験をされて長く心の傷として残っているというそんな方は、少し勇気を出して専門家に相談してみるというのも良いかもしれませんよ。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です