オープンダイアローグという統合失調症や引きこもりに効果的
皆さん、こんにちは。
今回は、近年、訪問看護やカウンセリング、精神医療において話題になっているオープンダイアローグという心理療法について、埼玉県さいたま市でカウンセリングを行う臨床心理士・公認心理士の筆者がお話したいと思います。
統合失調症やうつ病、PTSD、家庭内暴力、依存症、引きこもりなどの問題に効果的と言われている近年注目を浴びているオープンダイアローグについてご紹介していきたいと思います。もしも、ご家族で上記のような心の病のある人は、是非読んでもらいお話になっています。
そもそもオープンダイアローグとは!?
オープンダイアローグとは、フィンランドで開発された、統合失調症などの精神疾患の患者を対象にした対話を重視した心理療法のことを言います。
治療の対象は、当初は統合失調症の患者から始まりましたが、うつ病やPTSD、家庭内暴力、依存症、小学校教育、引きこもりなど様々応用が利く方法とされています。
様々な心の病に効果があると聞くと、とても難しい心理療法なのではないかと思われる方もいるかもしれませんが、その方法は実は拍子抜けするほど単純で、「開かれた会話をする」という点につきます。
皆さんは、日々生活していて本音をしっかり言って生きているでしょうか?相手のことを気にしたり、このように言ったら自分の評価を下げてしまうかなと自分の本音を言わずにいたりしませんか。
この思っている本音の部分を、家族や専門家(医師、看護師、心理士、ソーシャルワーカー)など本人に関係する人と話すというのが、開かれた会話をするという意味です。
ただ、これは本音を話してもいいんだという雰囲気がないとなかなか難しいものです。そのような雰囲気がないと、やっぱりやめておこうかなとなってしまい、開かれた会話にはなりません。
そのような雰囲気を含めて開かれた会話をできる環境を作るというのも、オープンダイアローグの難しい点かもれしません。
原理は、開かれた会話をお互いにして、お互いに相手の話をじっくりと耳を傾けるという、これだけで症状が快方に向かうというのがオープンダイアローグというものです。
オープンダイアローグの7原則と実践する際の12要素
先に、オープンダイアローグは開かれた会話をすることが原理であるとお話しました。開かれた会話をした上で、オープンダイアローグという心理療法を効果的に行うためには、以下の7原則が大切であるとされています。
①すぐに対応すること
②社会的ネットワークの視点を持つ
③柔軟にフットワークを軽くして対応すること
④要求に応えて引き受けること
⑤できる限り同じ人がかかわり続けること
⑥あいまいな状態に耐えること
⑦対話を続けること
7つの原則では、対応の早さの重要性とゴールは見えないかもしれない状況でも開かれた対話の継続をしていくことの重要性が言われています。
上記の7原則に続いて、オープンダイアローグを実践していく上で守るべき、カギとなる12要素についてもご紹介していきたいと思います。
①2人以上のセラピストチームが参加していること
②クライエントの家族と関わる人達のネットワークが参加していること
③開かれた質問が使われていること
④クライエントの発言に応答すること
⑤対話において、今この瞬間を大切にしていること
⑥対話において、複数の視点を引き出すこと
⑦対話において、関係性という視点をもっていること
⑧問題とされる言説や行動に対し、ありのままにとらえて、その意味を慎重に吟味する
⑨症状ではなく、クライエント自身の言葉やストーリーを大切にすること
⑩治療ミーティングにおいて、専門家間で会話が行われていること
⑪クライエントに隠し立てをせずに、透明性を保つこと
⑫あいまいな状態に耐えること
この12の要素は、オープンダイアローグを正しく専門家が行っていくためのマニュアルのようなものです。専門家がオープンダイアローグを行う際は、このような点を注意しながら行っていきます。詳しくは別の機会にお話したいと思います。
日常生活で開かれた会話をするための方法!?
オープンダイアローグという心理療法を成功させるために大切なものは、開かれた会話をすることであると初めに述べました。
集約してしまうと、日常的にこの開かれた会話をすることができれば、様々な心の病や問題を大きくせずに済むかもしれません。そこで、最後に日常で開かれた会話をするための方法についてお話していきたいと思います。
開かれた会話の反対の言葉は、閉じられた会話です。開かれた会話をダイアローグ、閉じられた会話をモノローグと呼んだりもします。
閉じられた会話のモノローグとは、心の中で本当はこうだなと思うことや、独り言、少数しかわからない話などが当てはまります。SNSなどで全員に向けて発信していても、受け取る人が受け取っていなければモノローグとなってしまいます。
逆に開かれた会話であるダイアローグとは、その場にいる人みんながわかるような話、心の中で思っていることを実際に共有してみるというのが当てはまります。相手も自分の話を聞いていて、自分も話したいことを話せている状態がダイアローグの状態です。
では、日常生活でどのようにこのダイアローグの状態、自分は話したいことを話、相手は話を聞いてくれて、相手も話したいことを話、自分を相手の話を聞いているという状態を作れるでしょうか。
自宅でやるおすすめの方法としては、家族で時間を区切って話したいことを順番に話し、他のメンバーは自分の番以外は口を挟まずに相手の話をただ聞くというものです。
例えば、夫婦の場合は、夫が5分間自分の思っていること話し、その間妻は夫の話に耳を傾ける。次に妻が5分間自分の思っていることを話し、その間夫は妻の話に耳を傾ける。このように時間を区切って、相手が話し、相手の話を聞く、という方法が自宅でできるダイアローグの状態に近い会話を行う方法としておすすめの方法です。
ポイントとしては、相手に言われたことに反論したりはせずに、そう考えているのかと受け入れつつ、話していくことが大切です。なかなか、家族でも思っていることが言えない、ダイアローグの状態ができていないという方は、是非試してみてはどうでしょうか。
オープンダイアローグのまとめ
今回は、埼玉県さいたま市のJR武蔵野線東浦和駅徒歩1分でカウンセリングを行う心の専門家である臨床心理士・公認心理士の筆者が、フィンランド発の心理療法であるオープンダイアローグについて、簡単にその特徴と、自宅でもダイアローグを実践する方法をご紹介いたしました。
自分の思っていることを素直に話す、開かれた会話であるダイアローグをすることは、時として難しく、それができないことで心の病に陥ってしまうことのあるものです。自分の本音を言うダイアローグを意識して生活してみるといいかもしれませんね。
今回のまとめに関する質問や感想は、コメント欄までよろしくお願いします。また、オープンダイアローグを使ったカウンセリングを受けてみたいという方は、当カウンセリングオフィスのカウンセリングのお申込みページにご相談ください。