神経質になり過ぎてしまう強迫性障害
皆さん、こんにちは。
突然ですが、何度も同じことを確認してしまったり、繰り返してしまったり神経質になりすぎてしまうということはありませんか。家の戸締りを何度も確認してしまったり、手洗いを何度もしてしまったり、そんな繰り返してしまう行動についてのお話です。
もしかするとコロナウイルスを気にするあまり手洗いをしすぎてしまっているという方もいるかもしれません。物事にあまりに神経質になり過ぎてすまうとそれは心の病気になってしまうことがあります。
何度も同じことを繰り返したり、何度も確認を行ってしまう、生活に支障が出てしまう心の病気を強迫性障害と言います。今回はそんな強迫性障害について、埼玉県さいたま市でカウンセリングを行う臨床心理士・公認心理師の筆者が、解説をしたいと思います
強迫性障害とはどんな病気!?
強迫性障害とは、つまらないことだとわかっていても、過剰なまでに、ある行動をせずにはいられないこと・あることを考えずにはいられないことです。
良くない考えが繰り返し頭に思い浮かび、強い苦痛や不安を感じる状態である「強迫観念」であったり、その強迫観念によって何度もある行動をしないと気が済まなくなる「強迫行為」を主症状とする心の病気です。
先ほど話をしたように手を洗い続けてしまうことや、カギを何度も確認してしまうこと、ガスに元栓を何度も確認してしまうこと、何か自分の決まりを守ろうとすることなどがあります。
ここで大切なのは、日常生活に支障が出ているという点です。つまり、日常生活で支障が出ない程度であれば大丈夫ということです。
しかし、症状が重篤な場合、人間関係が悪化してしまったり、うつ症状や不安感がみられる場合、引きこもりになってしまうこともあります。では、強迫性障害にはどんな種類があるのでしょうか?
強迫性障害の代表的な症状
①不潔恐怖と洗浄行為
汚れや菌などに対する恐怖が強く、共有部分が触れなかったり、電車のつり革が触れなかったり、そして過剰に手洗いや入浴をしてしまうこと。
②加害恐怖
自分が誰かを(性的に)暴行してしまったり、刺してしまったりなどの危害を加えてしまうかもしれないという不安に苛まれること。
③確認行為
家の戸締りや電気器具のスイッチ、ガスの元栓、自身の持ち物などを過剰に確認してしまうこと。
④儀式行為
靴を履くときは右足から、服を着るのは右手からなど、何かをするときに自分で決めた手順通りに行わないと不安になってしまうこと。
⑤数字へのこだわり
4時44分、666など不吉な数字や不幸な数字などに必要以上にこだわりすぎてしまうこと。
⑥物の配置や対称性へのこだわり
物の配置の仕方に特定のこだわりがあり、必ずそのようになっていないと気が済まないようになってしまうこと。
強迫性障害の実際!?
では、強迫性障害の実際として、強迫性障害の実際のエピソードをご紹介したいと思います。本当にあった事例を少しアレンジしてご紹介してみますので、どのような症状なのかということの参考にしてみて下さい。
ある強迫性障害の事例
車で回る保険外交員のある男性は、自宅近くの橋を車で渡って帰るのが日課になっていました。
ある日、いつもとは違うルートで家に帰ったため、そのいつも渡る橋を渡らずに家に帰った時がありました。すると家についてなぜだかそわそわして溜まりません。そしてあまりに落ち着かなくなってしまい、夜も眠れなくなってしまいました。
仕方がないので、その橋を渡るために夜遅く、再び車に乗ってその橋を渡って家に帰ると落ち着くのです。ある日、また別のルートで帰ると、今度は落ち着かなくばかりではなく、「あの橋を渡らないと不幸なことが起こるかも」という考えが頭をよぎってきたのです。そして、毎日、その橋を渡るように無理に帰るようになったという症例です。
驚きかもしれませんが、このような症状が実際にある症例を少しアレンジしたもので、このように初めのうちは特に気にせず通っていた橋が、通らずに負えなくなってしまい、生活にも不都合が起きてしまうというものです。
強迫性障害の対応方法とは!?
強迫性障害への対処方法には、薬物療法とカウンセリングの2つの方法を組み合わせるのが有効であると言われています。
①薬物療法
強迫感や不安感、うつ症状が強い場合には、SSRI(セロトニン再取り込み阻害薬)で病状の安定をはかります。
始めは少量から始めていき、薬との相性を見ながら量を増やしていき、長期的に服用していくことで症状の安定をはかっていくのが一般的です。
②認知行動療法(カウンセリング)
認知行動療法(当別ページ参考)でその人の捉え方と行動の変容を目指すというものです。強迫性障害には、そんな認知行動療法の中でも暴露反応妨害法という治療法を取ることがあります。
どのような治療法かというと、我慢の訓練で、強迫行為を行わないように我慢をするというものです。例えば、手を洗うという強迫行為を我慢する時間を延ばしたり、回数を少なくするというものです。
強迫性障害には、このように薬物療法で薬の力と認知行動療法を始めとしてカウンセリングの力を用いながら治療していきます。
強迫性障害のまとめ
今回は、埼玉県さいたま市緑区東浦和でカウンセリングを行う臨床心理士・公認心理師の筆者が、強迫観念と強迫行為から起こる強迫性障害という心の病気についてご紹介いたしました。
誰でもやってしまう行為であるカギの確認や手洗い行為も行き過ぎてしまうと問題となってしまいます。何事もやりすぎは良くなく適度というのが大切であるということです。
もしもあなた自身やあなたの周りに何かやりすぎてしまったり、確認しすぎてしまったりなどして、生活に困っている人はまずは専門家に相談してみるのがいいからしれません。
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