臨床心理士が解説する本当に怖いギャンブル依存症
皆さん、こんにちは。
今回は、パチンコや競馬、競輪、競艇など公営ギャンブルに加えて、株やFXなどの投資などにのめり込みすぎてしまうギャンブル依存症について解説したいと思います。
始めは、ちょっとしたギャンブル好きから、いつの間にそんなギャンブルなしではやっていけなくなってしまい、最終的には借金を抱えても続けてしまうという本当に怖いギャンブル依存症について、埼玉県さいたま市でカウンセリングを行う臨床心理士・公認心理師である筆者がご紹介いたします。
日本にもカジノ誘致などでギャンブル依存症が増えるかもしれないと言われていますが、ギャンブル依存症についてよく知ることで防げる部分もあるかもしれませんので、最後までご覧ください。
そもそもギャンブル依存症の症状とは!?
まずはギャンブル依存症にという心の病についてどのような状態なのか見ていきたいと思います。
ギャンブル依存症とは、海外ではカジノや日本ではパチンコ、公営競技のような賭け事にのめり込むことによって日常生活や社会生活に不都合が出てしまうことです。家族や仕事、趣味などよりもギャンブルをことを優先してしまう状態が続いてしまう状態です。
自分ではコントロール出来ているつもりでもいつの間にギャンブルなしではやっていけなくなっているというのがギャンブル依存症の怖いところです。いつでもやめられると思っていてギャンブルをやっていても、いつの間にかコントロールができなくなっているということが起こるのです。
それには、ギャンブルには部分強化という性質があります。これは、行うたびに報酬が不定期に確定するという性質で、この部分強化は次こそは当たるかもしれないと意欲を大いにかきたてるものであると言われています。
ギャンブル依存症になる要素・原因は!?
原因としては様々な要因があると言われていますが、はっきりした原因はよくわかってはいません。厚生労働省の調査では、日本人の4.8%程度がギャンブル依存症の可能性があると言われています。そんなギャンブル依存症になる要素として以下のようなものがあげられています。
①脳内の報酬系による
先ほども述べましたが、人はギャンブルで勝つと脳内でアドレナリンが出て、興奮状態になり、脳は快感を得るため、その快感を再び得ようと、ギャンブルをしてしまうというものです。
②男性の方が多い
幼少期のギャンブル体験はギャンブル依存のリスクを高め、若い人や中高年によく見られますが、傾向としては男性の方が多いという傾向があります。
③衝動性の高い
性格傾向として特定の性格がギャンブル依存症になるということはありません。しかし、衝動性の高い人の方が可能性が高くなると言われています。
④はじめの大勝が招く
ギャンブルを始めて行った時に大勝をしたという体験は、もう一度その大勝をと思うためにギャンブル依存症のリスクを高めると言われています。
⑤家族による遺伝
家族にギャンブル依存症の人が居ると、その人もギャンブル依存症のリスクが高まると言われいます。
⑥他の心の病がギャンブル依存症の危険を高める
薬物やアルコールの乱用、うつ病や適応障害、不安障害、強迫性障害、双極性障害、注意欠如多動性障害などの病気がギャンブル依存症の危険を高めると言われています。
ギャンブル依存症のチェックテスト!?
ここまで読んで頂いて、自分もギャンブル依存症の予備軍かもしれないと不安を感じた方にギャンブル依存症のチャックテストを用意したみましたので、確認してください。
毎日、ギャンブルをする習慣があるという人は、すでにギャンブル依存症の予備軍の可能性があります。最近12カ月を振り返って、当てはまるものの点数を足していってみて下さい。
①掛け金をどんどん増やしてギャンブルすることがある
②ギャンブルをやめるとイライラすることがある
③ギャンブルをやめるのに成功しなかったことがある
④しばしばギャンブルのことを考え続けることがある
⑤気分が落ち込んだ時にギャンブルをすることが多い
⑥ギャンブルでお金を擦った後に、取り戻そうとしたことがある
⑦ギャンブルにのめり込んだのを隠すために嘘を付いたことがある
⑧ギャンブルのために重要な予定をすっぽかしたり、職務上の危険を冒したことがある
⑨ギャンブルをするために借金をしたことがある
皆さん、点数を足してもらえたでしょうか。4点以上…ギャンブル依存症の疑いありという可能性があります。
このような形で結果を見ていただき、ギャンブル依存症の疑いがありとなった人は、ギャンブル以外でストレス発散をしたり、ギャンブルをしない日を意識して設けたり、専門家に相談してみるなど、早急に何らかの対応を取った方が良いかもしれません。
ギャンブル依存症への実際の道!?
次にギャンブル依存症になってしまった実際のお話を一つご紹介しておきたいと思います。
男性のAさんが初めてギャンブルを行ったのは、10代の頃でした。始めはバイトの範囲内でパチンコを楽しんでいました。
20代に入り、ついに借金をしてもギャンブルをし始めました。勝って借金を返せることがありましたが、次第に借金も増えていきました。しかし、全然やめることはできませんでした。
30代には、数社から借金をするして首が回らなくなってしまいました。家族にも嘘をついて借金をしていたのですが、家族にばれてしまいついに病院へつながり、治療をすることになりました。
多少、内容としてはアレンジしていますが、これは実際のギャンブル依存症の患者さんのエピソードです。始めは、少しのギャンブルからはじまり、いつでも辞められる思っていたら、いつしかやめられなくなってしまうのです。
ギャンブル依存症の治療!?
最後にギャンブル依存症の治療について見ていきたいと思います。
①欲望充足法
欲望充足法とは、ギャンブルをすること以外の日常の行動で自身の欲望を充足させるという方法です。
日常に楽しいと感じる行動として、例えばスポーツを行ったり、何かを作ったりなど趣味に没頭するという方法です。
この方法で、ギャンブル以外の欲望を満たすものを見つけることによって、別の行動を獲得していきます。
②認知行動療法
ギャンブルをする結果どのような事態が起きるのか、その収支がどのようになるのかを計算することによってギャンブルの正しい認知を得るという方法です。
ギャンブルをすれば儲かるという間違った認知を訂正して、正しい行動を獲得してもらう方法として認知行動療法という方法が有効だとされています。
単純にいくら使ってバックがいくらあるのかの記録付けるだけでも正しい認知が得られると言われています。
③自助グループ(GA・ギャンブラーズアノニマス)
ギャンブル依存症者同士が集まる事で、ギャンブル依存に走らないようにという自助グループ(ギャマノン)に参加するという方も多くいらっしゃいます。
依存症には、ゴールはなくギャンブルをまたすると依存が始まってしまうことも多いため、同じ体験を持った人と一緒に戦っていきます。
体験を共有することで、ギャンブル依存ではない方法で幸せに暮らしていく道を探っていきます。
④家族療法
依存症を一人で治していくのはとても難しいことで、家族なり周囲の協力というのは不可欠なものになっていきます。
そんな家族と協力して、時には家族構造やギャンブル依存に走ってしまうシステム変容していき治療していくというのが家族療法です。
こんなように家族の力を借りて、家族と共に戦っていくというのが大切な依存症を専門家と一緒に治療をしていきます。
今回ご紹介した治療法以外にもギャンブル依存症への治療としての独自のプログラムを実施していたりします。
ギャンブル依存症の症状・原因・治療法のまとめ
今回は、埼玉県さいたま市緑区のJR武蔵野線東浦和駅徒歩1分でカウンセリングを行う臨床心理士・公認心理師の筆者が、ギャンブル依存症の症状・原因・チェックテスト・治療法についてお話いたしました。
ギャンブル依存症は、ちょっとしたギャンブルで、人間関係のトラブルや仕事からのストレスなど、何かのちょっとしてきっかけで誰しもなる可能性のある心の病です。
もしもあなたの周りにギャンブルをやめられなくなっている人や、あなた自身ギャンブル依存症の予備軍の可能性があるという方は、ギャンブルに走らない方法での不安やストレスの解消を試みて下さい。
しかし、それでもやはり一人の力でギャンブルが辞められないという方は、一度専門家の話を聞いてもらった方が良いかもしれません。
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