臨床心理士が解説するドメスティックバイオレンス(DV)

 

皆さん、こんにちは。

 

コロナウィルスの影響で家族やパートナーといる時間が増えることによって、実は多くなっているのが子どもへの虐待であったり、パートナーへのDVであったりと言われています。

 

在宅勤務で家にいる時間が多く、またなかなか外に行きにくいという今年の状況は、虐待やDVを招きやすい環境なのかもしれません。

 

そこで今回は、心の専門家である臨床心理士・公認心理師である筆者が、ドメスティック・バイオレンス(DV)について、どのようなメカニズムで起こり、どう解決して行ったら良いのかというお話をしていきたいと思います。

 

夫婦ゲンカとDVの違いとは!?

 

DVについて詳しくみて行く前に、夫婦ゲンカとDVの違いについてみておこうと思います。皆さん夫婦ゲンカとDVの違いはどのようなものかわかりますか?

 

①夫婦ゲンカ

夫婦ゲンカは、お互いの主張ができることがあり、感情的になることがあっても「さっきは言い過ぎた。ごめんなさい。」と言えるような平等で対等な関係を言います。

 

②DV(ドメスティックバイオレンス)

DVは、一方が上位になり、一方が下位になりコントロールされる関係のことで、上位に立った方の言うことを聞かなければならなくなり、下位は自分の主張や意見が通らなくなる関係のことで、支配されてしまうことを言います。

 

このように夫婦ゲンカとDVかどうかは、平等な関係か上下関係という点が大きくことなる点です。しかし、中にはDVの加害者と被害者が入れ替わるというものもあったります。ある時は一方が上位になり暴力をしていたが、また別のタイミングではもう一方が上位になり暴力をするということもあります。

 

それではDVとはどんなものか!?

 

それではDV(ドメスティック・バイオレンス)とはどのようなものか、みていきたいと思います。DVとは、夫婦など親密な関係のパートナーへの暴力のことをいい、2001年施行のDV防止法によって犯罪になる行為のことです。ここで言う暴力とは、実際に殴る蹴るといった暴力だけでなく、以下の4つが当てはまります。

 

①身体的暴力

身体的暴力とは、殴る、蹴る、叩く、平手打ち、小突く、殴るフリをする、物を投げる、噛み付く、掴んでゆする、押したりついたりする、押さえつける、髪の毛をつかんで引っ張る、階段から突き落とす、物を使って叩く、首をしめる、怪我をしているのに病院へ行かせないなどです。一般的に外傷を伴うものもあり、他から発見されやすいものであったります。

 

②性的暴力

性的暴力とは、相手が嫌がるのにキスやセックスを無理強いする、セックスに応じないと不機嫌になったりったくなったりする、避妊に協力しない、妊娠させる、中絶の強要、暴力をふるったあと謝罪や仲直りのつもりでセックスをする、浮気をする、浮気をするとおどす、無理にアダルトビデオを見せるなどです。これらは、パートナー間で行われるために顕在化しにくく、また本人も話したがらない事柄のために、妊娠や中絶などに至らない限り、発見されにくいものであったりします。

 

③経済的暴力

経済的暴力とは、お金を取り上げる、お金を工面させる、お金を支払わさせる、お金を借りる、お金を借りても返さない、お金を借りさせる、お金を払わせる、物を買わせる、相手が自由にお金を使うことを許さないなどです。結婚したら家計を一緒にするという観念があまりない人がこのような暴力を働いている場合もあります。

 

④精神的暴力

精神的暴力とは、相手を繰り返し批判したり、否定的なことを言ったりする、怒鳴る、皮肉屋嫌味を言う、なんでも従えを言う、発言権を与えない、行動を監視する、混乱させる、外出を禁止する、無視する、人前で侮辱する、別れるなら自殺すると脅す、誰に食わしてもらっていると見下す、大事なものを壊す、道路について指示する、日々の生活や人間関係、行動を常に監視する、親や友人との付き合いについて制限する、周囲の人間関係をさせず孤立させる、別れても一生お前を苦しめてやるなどと言うなどです。いわゆるモラハラ的な行為もここに部類されます。

 

これらのいずれかの暴力や上記の複数の暴力を受けているとしたらそれはもうDV(ドメスティックバイオレンス)と言えるでしょう。

 

なぜこのようなDV行為が起こってしまうのか!?

 

今上げてきたような様々な暴力を受けたら、そこから逃れてしまえばいい、パートナーを解消したらいい、離婚したらいいと考える方も多いことでしょう。しかし、実際にはなかなかそうならない構造や状態があったりします。DVには以下のような構造があるためと言われています。

 

①ハネムーン期

 

暴力の反動でパートナーに謝罪して愛情を注いで別人のように優しくなる時期です。

 

②緊張期

 

暴力前のピリピリした雰囲気の段階のことで、ちょっとしたことでイライラしている時期です。

 

③爆発期

 

感情がコントロールできなくなり、実際の暴力の発散によって緊張を解く時期です。

この①→②→③を繰り返していくのがDVの構造です。暴力があってもその後のハネムーン期でこの人には私しかいないと思ってしまったり、暴力があるけど優しいところもあるんですと、離れられない要因になっていたりします。

 

また、長期に渡って暴力を受けてきた人は、うつ状態のようになっている場合も多く、本当だったら別れた方が良いという正しい判断ができなくなっていたりする場合もあるのです。

 

DVを解決するために!?

 

DVを解決するためには、まずは相談機関で相談することをお勧めします。行政の相談窓口が設置されています。配偶者暴力相談センターや婦人相談などに相談することをお勧めします。また、これらの相談窓口以外にも、医療分野や私設のカウンセリング、弁護士事務所等も相談を受け付けているところがあります。

これらのところに相談することが解決のための第一歩でしょう。また、ひどい暴力の場合は、迷わずに警察を呼ぶということも大切になっていきます。

 

相談をしていくことで、やはり離婚やパートナーを解消していくという選択肢が良いという場合もありますし、話し合った結果関係の修復を目指していく場合もあります

 

離婚やパートナーを解消していく場合は、それに向けた準備を行ったり、必要に応じてシェルターへ非難したり、弁護士を立てて離婚協議を行っていきます。

 

関係を修復していく場合は、様々なアプローチがあります。家族療法的なアプローチであったり、加害者にプログラムに参加してもらったり、自助グループでの再発の防止を進めていきます。DVを解決していくための具体的な方法に関しては、また別の方法をご紹介したいと思います。

 

ドメスティックバイオレンスに関するまとめ

 

今回は、心の専門家である臨床心理士・公認心理師である筆者が、夫婦やパートナー間で起きるドメスティックバイオレンスについて、その構造と対処法について解説させて頂きました。

 

今回のまとめでドメスティックバイオレンス(DV)について理解できたのでしたら幸いです。また、支援の具体的な対応法については別の機会にお話したいと思います。

 

ドメスティックバイオレンスのまとめに関する質問や感想がありましたら、コメント欄までお願いします。また、なにかドメスティックバイオレンスに関わらず夫婦やパートナーとの関係に関するご相談がありましたら、当相談室のカウンセリングもご利用下さい。

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