自傷・自殺をする子ども達の実態と対処法

 

皆さん、こんにちは。

 

今回は、自らを傷つけてしまう自傷行為と自ら命を亡くしてしまう自殺行為や自殺企図、自殺未遂をしてしまう、子ども達が、どのような状態にあるのかという実態と、そんな子供たちに出会ったとき、またそんな子供たちに聞いて欲しい対応方法について、埼玉県さいたま市緑区のJR武蔵野線東浦和駅徒歩1分でカウンセリングを行う臨床心理士・公認心理師の筆者が、行っていきます。

 

実は、子供たちの自殺行為が、2020年、コロナウイルスの影響を受けてか、過去で一番多くの人数になってしまいました。そのようなコロナ禍が続く今、是非とも知ってもらいたい子供たちのお話です。この話を知っているだけで、もしかすると守れる命もあるかもしれません。

 

子供の行う自傷行為・自殺行為の実態

まず始めに皆さんに厚生労働省のまとめた児童生徒の自殺数の推移を見てもらいたいと思います。先ほどから述べているように実は、児童生徒の自殺者数が2020年に479人で最多になりました。

 

 

ここにはやはりコロナ禍で様々我慢を強いられる生活が続いているためではないかと推測されています。大人であっても不安を覚えてしまうコロナ禍の状況ですので、子供も多くの不安を抱えていると考えられます。

 

そして、時期として最多になっているのが8月です。2020年は子供たちは1学期に休校があり、短い夏休みが8月にあったその終わりごろに最多になっているわけです。ここには、学校が始まり嫌だという気持ちもあるかもしれませんし、それ以外の要因があるかもしれません。一つ子供の死生観に関する調査もご紹介しておきましょう。

 

 

これは長崎県で小学校4年生、6年生、中学2年生を対象に行われた調査で、「死んだ人が生き返ると思いますか?」という質問に対する結果です。それによると「はい」と答えた子供の割合が15.4%に及び、「いいえ」と答えた子供の割合が84.6%というものでした。

 

15.4%の子供たちが人は死んでも生き返ると考えており、その理由としてはテレビやゲーム、ネットでの影響が大きいとされています。ゲームでリセットできるように実際に人生もリセットできると思っている子供たちがいるわけです。

 

このような死への捉え方からもしかすると簡単に自殺などの行為に至ってしまうという背景があるかもしれません。多感な時期の子供たちはテレビやネット、ゲーム、YouTubeなどの影響をもろに受けて、コロナの報道で不安になったり、誤った死生観を持っているかもしれないのです。

 

自傷行為と自殺行為を定義する

自傷行為とは

自傷行為と聞いて皆さんはどのようなことを思い浮かべるでしょうか?自傷行為とは、「自殺以外の意図から、非致死性の予測をもって、故意に、そして直接的に、自らの体に対して非致死的な損傷を加えること」とされています。

 

ここで重要なのは、「直接的に」自らを傷つけるということで、具体的には、手首を切るリストカット、やけどさせるなどが入ります。大量の飲酒や喫煙、服薬も自らの体を傷つける行為ですが、「直接的に」という点でこの限りには当たらないとされています。

 

しかし、アルコールの乱用やヘビ―スモーキング、過剰服薬は、自傷行為と密接な関連があり、無視することはできません。ただし、狭義の自傷行為ではこれらは含みません。確かに自分の体を傷つける行為には違いので、広く言えばこれらも自傷行為という場合もあります。

 

リストカットなどの自傷行為の結果、本当に死に至る場合もあり、自傷行為と自殺行為は切っても切り離せないようなものです。繰り返す自傷行為から死に至ってしまう場合もあります。

 

自殺行為とは

自殺行為をわざわざ改めて説明する必要もないかもしれません。自分で自らの命を奪ってしまうような行為を自殺行為と呼びます。自殺行為とは、明確な意思を持って死のうとすることを指します。

 

自傷行為は死に至る危険性が低いもの、非致死性のものが選ばれるとお話しましたが、自殺行為は、致死性の予測の高い、致死的な損傷を加えることを指します。その方法は様々もさまざまです。

 

ただ、自傷行為に至るにせよ、自殺行為至るにせよ、そこには様々複合的な要因や原因があると言われており、何か一つの出来事があってすぐに死に至ったるということは多くはないと言われています。

 

自傷行為や自殺行為に至る要因

自傷行為や自殺行為に至る理由

自傷行為や自殺行為至る要因や原因についてみていきたいと思います。まずは自傷行為をする理由について調査された結果についてご覧になってみて下さい。

「イライラを抑えるため」や「辛い気分をすっきりさせたくて」というように辛い思いをどうにかしたいという人の割合が58%となり、「他の人に自分の辛さを分かって欲しくて」というように構って欲しいわけではないという人の割合が18%となり、「死にたくて」というように死ぬつもりとして自傷行為をした割合が18%という結果でした。

 

自傷行為に関して、周りに構って欲しくてやっているのではないか?と聞くことがありますが、実はそのようなことはないというところで、多くの自傷行為に至ってしまう人は、今の辛さなどの思いをどうにかしようとした結果として行っているという人が多いということです。

 

自傷行為や自殺行為至る原因

自傷行為や自殺行為にいたる原因は様々な調査がされていますが、そこには様々なものが隠れていることが多くあります。子供の自傷行為や自殺行為の原因で比較的多いのが、いじめ・虐待・暴行の被害・ヤングケアラーなどの背景があるといわれています。

 

また、学業成績が良くなくてということや、友人との関係、彼氏彼女との関係などのトラブルから、自傷行為や自殺行為に至ることもあります。時にははたからみると大したことではないような、きっかけであっても自傷行為や自殺行為に至ってしまうことがあるというわけです。

 

さらに自傷行為や自殺行為の背景には、うつ病や双極性障害、パーソナリティー障害、摂食障害、統合失調症などの精神疾患が隠れているような場合もあったりします。

 

繰り返すひどい自傷行為や自殺行為は、精神科などの専門家への相談を強くおすすめします。当人が相談することが難しい場合は、その家族やお知り合いの方がご相談に行くこともできます。子供の自傷行為や自殺行為を見つけたら、しかっりと向き合ってみて下さい。

 

子供の自傷行為や自殺行為への対応

やってはいけない3つの対応方法

 

子供の自傷行為や自殺行為があった時の対応方法についてみていきたいと思います。まず始めに注意してもらいたい子供への反応についてです。やってはいけない3つの対応方法をについてお話します。

①過小な反応

自傷行為等があった時に、それを見て見ぬふりをするなど、あまり反応しなかったり、気にしないふりをしたりするなど、過小な反応は良くないと言われています。

 

自傷行為や自殺企図などは、その子供が出している精一杯のSOSである場合が多く、そのSOSを受け取ったにも関わらずに、気にしないというのは、とても良くない対応の仕方の一つということです。

 

②過剰な反応

自傷行為等があった時に、見てみぬフリはよくないと言いましたが、すごく慌ててしまい、騒ぎ立てて、一大事のようにしてしまうなど、過剰に反応しすぎるというのもよくありません。

 

あまりに騒がれる過剰な反応をされてしまうと、それによって子供本人が、不安になってしまうということが起きる可能性があります。また、やってしまった罪悪感がより広がってしまうような場合もあります。

 

③攻撃的・挑発的な反応

自傷行為等がわかった時に、「また、やったのか」「いい加減にしなさい」と子供を責めるような攻撃的であったり、時には挑発的な反応も避けるべきだと言われています。

 

子供も多くの場合は、やりたくてやっているわけではないのです。そのような気持ちの状態をわかってくれずに、ただ責められるような反応は、とてもつらく感じるようなものになってきます。

 

では、自傷行為や自殺行為がわかった時に、どのような対応をしていったらいいのでしょうか。自傷行為等が合った時の話の聞き方の基本であるTALKという方法をご紹介したいと思います。

 

TALKの原則で相手の話を聞く

 

先にお話したような対応方法はとらないというのが大原則の上で、対応としては、まずは自傷行為等の傷を十分に手当てをした上で、子供たちの話聞いてあげるというのが大切になっていきます。

 

子育てカウンセリング・リソースポートの臨床心理士・公認心理師の半田一郎先生の『消えたい』『死にたい』子どもの声の受け止め方も参考にしてもらえたらと思います。

 

自傷行為等が行った時に話聞く姿勢として、その頭文字を取ってTALKというものがあります。今回はTALKによる話の聞き方をご紹介していきたいと思います。

 

①Tell(話す)

まず始めに大切になってくるのは、見てみぬフリをしないで、今起きている自傷行為等について、話をしてみるということです。ここでやってしまいがちなのが、「やめなさい」など頭ごなしに否定してしまうことです。行為の否定ではなくて、心配している旨を伝えられると良いでしょう。

 

②ASK(尋ねる)

次に行ってもらえたらいいのが、率直に子供に尋ねてみるということです。「何か困っていることはないか?」「どんな思いでいるのか?」など今のその子供の気持ちや考えなどについて、聞いてみることは大切です。なかなかすぐには聞いても答えがでないかもしれませんが、子供のことを心配で聞いているということを伝える上でも、率直に尋ねることは大切になってきます。

 

③Listen(聞く)

尋ねた後にやって欲しいのが、子供の話にじっくりと耳を傾けるということです。途中で、何かあなたの意見を挟みたくなることがあるかもしれませんが、そこはぐっと抑えて、目の前にいる子供はどのように受け取って、どのように考え、今の行動に至ってしまうのか、彼や彼女なりの物語について真剣に耳を傾けていきます。

 

④Keep Safe(守る)

話を聞いて状況や心情がわかったのであれば、その子供を支えるための人や資源を増やしていき、その子供を守っていけるような動きを取っていくことが大切です。ここで必要に応じて、専門家へ繋げていったり、学校などと連携して子供の様子を見守っていくことが大切になっていきます。

 

自傷・自殺をする子ども達の実態と対処法のまとめ

 

今回は、埼玉県さいたま市緑区のJR武蔵野線東浦和駅徒歩1分でカウンセリングを行う臨床心理士・公認心理師の筆者が、自傷行為や自殺行為に至ってしまう子供の実態についてお話した上で、そのような子供に出会った際にやってはいけない対処法とやってもらいたい対処法としてTALKで話を聞いていくということをお話させて頂きました。

 

あまりにひどい自傷行為であったり、自殺企図などは、早めに専門家への相談をおすすめいたします。手遅れになってしまうそんな前に、適切な支援に繋げてあげることで、救える命は多く存在します。

 

大切なのは、子供たちの普段とは違うというような些細な変化を見逃さないことです。普段とちょっと違う様子が何かあったり、気になることがあったら、まずは声をかけてあげることがとても大切になります。そこから救える命や子供の悩みがあります。

 

今回のまとめに関する感想や質問は、コメント欄までお願いします。また、当カウンセリングオフィスへのご相談を希望される方は、以下のお申込みページへお進み下さい。

 

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