問題モードのクライエントを解決モードに変える方法!?
皆さん、こんにちは。
今回は、カウンセリングにおいて、問題ばかりを語ってそこに留まってしまいなかなか離れられない人が、解決を見つけられるようになるにはどのようなプロセスがあるのかという、カウンセリングのテクニックを皆さんにご紹介したいと思います。
カウンセリングでは様々な人が訪れます。その中でも多いのが、自分の過去がいかに大変だったのかを語り、そんな過去に留まってしまい、なかなか今の現実や未来を生きられない人です。
そのような人たちにカウンセリングでは、どのように問題モードから解決モードへと話を進めていくのかをという流れをご紹介いたします。皆さんも身近な人の悩み相談に乗る際に是非参考にしてみてください。
問題モードから解決モードへ話を聞いていく方法!?
それでは、早速どのようにしてカウンセリングでは問題モードから解決モードへ切り替えて話を聞いていくのかという流れをご紹介していきたいと思います。
①よく話を聴いて認め、関心を向ける
まず初めによく話を聞く必要があります。まずはその人の感じる問題や悩みについて十分に話を聞いていきます。聞く時のポイントしては、相手がどのように感じているのかというのを関心を向けることです。
あの人はこのように物事をとらえて、このように感じているんだと話を聞いていきます。時には「それはどういうこと?」「もう少し詳しく教えて?」というように質問をしながら話を聞いていけると良いでしょう。質問されることで、自分に関心を持って聞いてくれているんだと相手も感じるでしょう。
②問題とその問題が起きているコンテクスト(文脈)を明確にする
次は少し専門的な話かもしれませんが、問題が起きているコンテクスト、流れを明らかにしていくというものです。どういうメカニズムで問題は起こっていて、どういうメカニズムで問題は維持されているのかというのを把握していきます。さらに、問題も誰にとっての問題なのかというのも明確にしていくといいかもしれません。
例えば、子供が不登校という問題も、学校の国語の勉強につまずきがあって授業が分からなくなっていて、学校への生き渋りがあるというのを明らかにしたり、不登校も困っているのは誰なのかというのを明らかにしていきます。子供が学校へ行きたいのに行けなくて困っているのか、親が日中子供が家にいる対応ができずに困っているのかというように誰がどのように困っているのかということを細分化して把握していきます。
③問題に対する考え、感じ方を知る
次にその問題に対する考え方や、感じ方を聞いていくことが大切になっていきます。その問題についてどのように思っているのか、何が原因でそのようなことが起きるの、どのように対処してきたのか、これからどのようになると思うか、ということを聞くことで、様々なことが明らかになっていったりします。
例えば、うつ病で就職するという夫は、家族に働けなくなって申し訳ないと自分を責めているときに、妻に考えを聞くと、「今まで頑張ってきて、たまには人生の夏休みだと思ってゆっくりして欲しい」と実はうつ病を悪いことととらえていないということがわかったりすることがあります。このように問題に対する考え方や感じ方を問うことで明らかになることもあったりするのです。
④目標を明確にする
十分に問題について聞いた後は、どうなったらいいのか、どうなったら相談したと思えるのかという目標について聞いていきます。問題の解決のイメージを膨らませてもらうために必要なことで、どのようになったら解決した、問題が問題と思えなくなるのかということを共有していきます。
具体的には、「ここに来ることでどうなっていればいいですか?」「よくなっていることはどんなところからわかりますか?」このような質問をすることで、「~のようになればいいと思います」「~というところからよくなっているのがわかります」というようになんとなくでもいいので、目標になる状態をイメージすることができます。まずは、解決のイメージをしてもらわないことには、なかなか問題をなくすことはできません。
⑤解決モードに入ってみる
目標が定まってきたら、今度は詳細に問題が解決してしまった状況を描いてもらいます。「問題が解決してしまったら、どうなっていますか」「すこし、よくなると、どうなっていますか」「家族はどうなっていますか」「すると今までとどこが違っていますか」「そういうことが今までありましたか」とこのような質問を使うことで、解決のイメージがどんどん広がっていきます。
解決の話やイメージを一緒に考えていくことが実は重要です。一人だと鬱々となって問題がいっぱいでどうしようもないと思っていた人も、誰かと一緒に解決を考えていくことで、解決モードへ広げていくことができます。
問題モードから解決モードへ話を聞く方法のまとめ
問題モードから解決モードへ話を聞くには、まずは十分に問題モードの話を聞いた上で、目標を共有してから、そのための解決を探していくという流れで進めていくというものでした。流れのポイントしては、以下の5つがあげられます。
①クライエントの努力の軌跡に絶え間なく関心と敬意を払う
②クライエントの理論を理解する
③別の可能性を絶えず探しながら聞く
④問題についての語りに耳を傾けてみましょう
⑤そして、解決モードへの移行を試みてみましょう
今回ご紹介した方法は、あくまでもカウンセリングの専門家である臨床心理士・公認心理師が使う方法としてご紹介させていただきましたが、皆さんが何か相談を受ける際にもきっと役に立つ方法だと思いますので、是非参考にしてみてください。
今回のまとめに関する疑問や感想はコメント欄までお願いします。また、今回ご紹介したような流れで問題モードから解決モードへ話を聞いて欲しいという方は、是非当カウンセリングオフィスのカウンセリングをご利用ください。