不安を主訴に来る人にどんなカウンセリングをするのか

 

皆さん、こんにちは。

 

皆さん、なんだか不安だということは最近ありませんか?実は最近カウンセリングをしていて感じることとして、不安でたまらないという相談が普段よりも多いように感じています。

 

子どもからは不安で学校に行くことができない、大人からは漠然とした将来の不安を感じていて仕事がなかなか手につかないと言った相談を受けています。皆さんもこのような不安はありませんか。

 

ここにはコロナウイルスの影響が少なからずあると考えています。普段とはかなり異なる日常生活を送り、また先も見えない状態にあるところから不安になってしまうことへと繋がってしまうということです。

 

そこで、今回はそんな多くの人が抱えている不安だという相談に臨床心理士・公認心理師はどのようにカウンセリングで解決していくのかというのを架空事例をもとに紹介していきたいと思います。

 

不安の正体とは!?

 

不安に関するカウンセリングをどのように行っていくのかを見ていく前に、まず始めに不安とはどのようなものなのかという、不安の正体について簡単にお話しておきたいと思います。皆さん、不安とはどのようなときに起こる状態かご存じでしょうか。

不安とは、未知のものを体験するときや、安全が確認されていない状態に起こる気持ちであると言われています。未来のことが明確にわからずに、今の自分の状況すらもしかすると危ういかもしれないこんな状態のときに起こるのが不安という気持ちです。

 

今の状況に当てはめて考えると、コロナウイルスという未知のものを人類が皆体験して、いつ自分がそんな未知のウイルスにかかってしまうか安全が確保されていない状態ということができ、誰しも不安を感じても不思議でない、いや、不安を感じて当然の状態が今と言えるかもしれません。

 

では、そんな不安な状態をどのようにしてカウンセリングで解決していくのかを見ていきたいと思います。実際に強すぎる不安の場合は抗不安薬などの薬と併用してカウンセリングを受けることが良いかもしれませんが、軽度の不安であればカウンセリングだけでも十分に効果的なこともあります。

 

カウンセリングで不安を軽減させる

 

それではよくある架空事例を通してどのようにカウンセリングで不安を軽減していくのかというのを見ていきたいと思います。今回は、子供の不安になってしまう話に対してどのようにカウンセリングでその軽減を行っていくのかということを見ていきたいと思います。

 

小学生のAくんは不安で学校に行けなくなってしまいました。そんなAくんとのカウンセリングでのお話を例にどのようにカウンセリングで軽減していくのかというのを見ていきたいと思います。

 

カウンセリング実況

 

 

どんな時に不安になっちゃうの?

 
 

なんだか急に不安になっちゃう。学校に行こうとしたり、家に居てもお母さんがいないと不安になる。

 
 

そうか。学校やお家にいる時に不安になっちゃう時があるんだ。じゃあ、不安にならない時はどんな時なの?

 
 

不安にならない時なんてないよ。いつも不安になっちゃうんだ。

 
 

お母さんといる時とかはどうなの?

 
 

お母さんといる時はちょっとだけマシかも。

 
 

お母さんといるとマシになるんだね。お母さんがいないとみんな不安になっちゃったりするよ。もしもあったらだけど、そんな感じでちょっとだけマシな時って他にもある?

 
 

お兄ちゃんとゲームしてる時も大丈夫かもしれない。

 
 

他には大丈夫な時はある?

 
 

コロネ(犬)の散歩をしている時も大丈夫。

 
 

お母さんと一緒にいたり、お兄ちゃんとゲームをしたり、コロネと散歩してると安心するんだね。人は先のことを考えると不安になっちゃうと言われているから、不安になったときは、深呼吸をしてみたり、何を手を動かしてみたり、今を考えることをできるといいと思うよ。

 

 

カウンセリング実況の解説

本当のカウンセリングではもう少し丁寧に聞いていきますが、今回は要点だけをご紹介するつもりでしたので、短めに会話でした。短めの会話でしたが、今回の不安のカウンセリングには実は4つの要素が入っていました。

 

一つ目は例外探しという技法です。不安で仕方ないという状態を聞きすぎてしまうと実はその不安はどんどん広がってしまったりします。不安について聞くと、あれも不安だし、これも不安だしとどんどん出てきてしまったりしますよね。

 

そのため、例外、つまり、不安ではない状態について考えていくというのが大切だったりします。しかし、すぐに不安じゃない時は?と聞いてもなかなか出てくるものではありません。

 

今回のカウンセリングでの会話でも、始めに不安ではない時と聞いても「そんなときはない。いつも不安なんだ。」とAくんは返しています。そこで行っていったのが二つ目の技法です。

 

二つ目はリフレーミングという技法です。これは、言い換えによってクライエントのそのものの捉え方を少しずつ変えていくというような方法のことです。よく使われる例としては以下のようなものが言われています。

 

コップに半分だけ水が入ったコップを見て、「半分しか水がない」と思うか「半分も水がある」と思うかという違いが出てきたりします。同じ状態でも捉え方で変わってきたりするのです。

 

このように「しか」という状態から「も」という状態に相手の捉え方を変えていくというのがリフレーミングという技法です。実は今回の不安のカウンセリングでの会話でもこのリフレーミングを行っていました。

 

聞き方を「不安にならない」という聞き方から「少しだけマシ」という聞き方に変えることで先の例外をより探しやすくしています。さらに本人が「大丈夫」といったことから、「少しだけマシ」から「大丈夫」というようにリフレーミングをしています。

 

このように少しずつ聞き方を変えることで、リフレーミングをしていき、「不安にならない時はない」という状態から「大丈夫」という状態があるというところまで話を持ってきています。

 

三つ目はノーマライゼーションという技法です。ノーマライゼーションとは、他のみんなも一緒だよということを伝える技法のことです。今回の不安のカウンセリングでは、「お母さんがいないとみんな不安になるよ。」と話しています。

 

このようにみんなもなるんだと思うことで、自分だけが変な人ではないという安心感を持つことができて、結果的に症状が好転する場合もあったりするのです。

 

四つ目は心理教育という技法です。心理教育とは、今抱えている事態がどのようなものなのかを正しい理解をしてもらうためのものです。今回は、最後に不安とはどのようなものかを説明しています。

 

不安というのがどのようなものかわかり、その一般的な対処方法を聞くのが心理教育というものです。この心理教育によって正しい知識を身に着けて対処することができる場合もあります。

 

カウンセリングで不安を軽減させるまとめ

 

今回は、さいたま市東浦和でほんだカウンセリングオフィスを営む、心の専門家である臨床心理士・公認心理師が、不安を訴えるクライエントに対して、例外探し、リフレーミング、ノーマライゼーション、心理教育という四つの技法を散りばめてカウンセリングを行っているというのを解説しました。

 

会話形式の部分を見るだけだと、普通に話をしているだけじゃんと思われた方も、解説を読むとそんなことをしていたのかと驚かれる方も多くいらっしゃいます。実は訓練を受けたプロは様々な細かい技法をこのくらい散りばめながらカウンセリングをしているのです。

 

今回のまとめに関する疑問や感想はコメント欄までお願いします。また、当カウンセリングオフィスへのカウンセリングをご希望の方は、お申込みページまでお進みください。

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