臨床心理士が日本一わかりやすく解説する適応障害とは!?

 

皆さんこんにちは。

 

今回は、仕事をしている人に実は多い適応障害という心の病について、臨床心理士・公認心理師の筆者が解説したいと思います。

 

最近、職場環境のストレスで抑うつ的になったり、イライラすることが多いという人はもしかすると適応障害かもしれません。

 

自分がそうかもしれないからと適応障害について知りたいという方や、身近に適応障害の人が居て何ができるか知りたいという方に読んでもらいたい記事になっています。

 

そもそも適応障害とはどんな心の病!?

 

まず始めに適応障害とは、とのような心の病なのかということを見ていきましょう。

適応障害とは、生活の中(多くは職場環境・家庭環境の変化等)で生じるさまざまなストレスにうまく対応することができずに、抑うつ感や不安感、イライラ感、めまい、吐き気、身体の震えなどが見られて、日常生活に支障を来たすものです。

 

この適応障害の特徴として、原因となるストレスが特定できていることが多く、そのストレスから概ね1カ月〜3カ月程度で発症すると言われています。

 

そしてストレスの原因がなくなってから概ね6カ月以内で治るとされていますが、ストレスが長く続く場合はその状態は長く続いてしまいます。

 

症状としてはうつ病や不安障害とよく似ているため、そちらの診断基準が満たされる場合は、そちらの診断名が付きます。過去にうつ病と不安障害については、解説してありますので、詳しくはそちらをご覧下さい。

 

うつ病について臨床心理士が解説する

 

適応障害になる原因とは!?

 

適応障害になる原因としては、主に環境要因と本人の気質の2つがあると言われています

 

①環境要因

環境要因としては、職場や家庭環境の変化によるものが多いと言われています。

 

職場環境であれば、例えば転職をしたり、場所替えがあったり、苦手な上司がやってきたり、このようなことが当てはまります。

 

また、家庭環境であれば、例えば結婚や離婚、子どもの誕生、死別、引っ越しなどが当てはまります。

 

当然、これ以外の環境的な要因になることもありますが、主に職場や家庭環境のものによるところが多いと言われています。

 

②本人の気質

本人の気質としては、ストレスを溜めやすかったり、考え方のくせとして抱え込みやすかったり、あまり誰かに相談しないというような性格が、可能性を高めるかもしれません。

 

例えば、ストレスが溜まっていると感じていても十分に休めない、自分にあったストレス解消法を知らない、ストレスを解消法を実践できないなどです。

 

例えば、考え方のくせとして「~しなければならない」「~するべきだ」という考え方は、自分の行動を制約してしまい、他者の行動にストレスを感じるかもしれません。

 

例えば、誰かにあまり相談できないと、何か困った事態になっても一人で抱え込んでしまいうまく解決できないかもしれません。

 

このような特徴や性格は、適応障害の可能性を高める結果につながるかもしれません。

 

抑うつやイライラががひどくならないための方法!?

 

先のチェックリストでうつ病まではいかないけど、うつ状態が続いている人におすすめの方法をご紹介したいと思います。

 

①身体を十分に休める

うつ状態が長く続いている人は、まずは身体を十分に休めることが大切です。十分に睡眠を取り、お風呂にゆっくりと使うなど身体を休められると良いでしょう。

 

必要に応じて、例えばお休みを取って体を休めると良いでしょう。または、休みの日に一日ゆっくりと横になるというのでも良いでしょう。

 

②おいしいものを食べる

次に食事を取ることも大切です。特に大切なのが、おいしいものを食べるということです。栄養のあるものを取るのも大切ですが、自分の食べたいものを食べるのも良いでしょう。

 

もしもダイエットしている人が居たら、少しダイエットは中断しておいしいものを食べて、身体と心のエネルギーの回復を目指せると良いでしょう。

 

③誰かに気持ちを話してみる

信頼できる誰かに今の気持ちを話してみるというのが大切でしょう。何か辛い気持ちがあるのであれば、自分の中にずっと抱え込まずに出してみると良いでしょう。

 

その際に大切なのが、自分の信頼できる人に話すということです。そして、いっぱい話しすぎて辛くなることもあるので、話したくないものは話さないということも大切です。

 

④好きなことに没頭してみる

自分の普段やっている好きなことに没頭してみるというのも良いでしょう。楽しいことをやるのは心のエネルギーを回復していきます。

 

しかし、あまり気分が向かない時は無理にするのは良くないので、好きなことのうち今の状態からできることを選択してやってみるのが良いでしょう。

 

これらの方法でもなかなか心の元気が出ないという時は、やはり必要に応じて専門家に相談してみるのをお勧めしています。

 

適応障害の実際のケース

 

では、適応障害の実際の状態というのは、どのようなものなのかというのをご紹介したいと思います。

IT企業に勤める20代男性のAさん。大学卒業から今の企業で働き続けている。4月に部署替えがあり、今までよりも仕事量が増してしまった。また、新しく上司になった人はとても厳しく、なかなかチェック資料の合格をもらえなかったり、少しのミスで叱責されることが増えた。その後、だんだん会社のことを考えると気分がふさいでしまったり、イライラしてしまうことが多くなった。家に帰ると比較的症状が落ち着いていたが、会社のことを考えると上記のような症状が6カ月以上続いていった。産業医の面談を経て、メンタルクリニックを受診して、適応障害の診断がおりた。服薬をして産業医と相談の上で、部署の変更をすると症状は徐々に落ち着いていき、通常通りに仕事をすることができるようになった。

 

これが適応障害の実際の辿る過程です。ストレスの原因である新しい部署での仕事や上司というようにわかりやすく、その原因が取り除けると、徐々に回復するという特徴がよくわかる例になっています。

 

適応障害の治療法!?

 

最後に適応障害の治療法についてまとめておきたいと思いますので、参考にしてみて下さい。

 

①環境調整

適応障害の患者さんへの一番の治療としては、環境調整が大切でしょう。ストレス源である環境を調整しないことには、症状は良くなりません。

 

ストレス源になっていることを特定して、そのストレス源をどう改善することができるかということを検討していきます。

 

先の例のように仕事によるストレスの場合は部署替えや転職というのが大切になっていくでしょうし、家庭でのストレスの場合は引っ越しや役割分担の変更というのが大切になっていくでしょう。

 

ストレスになる部分を取りのぞかなくては、薬を飲んでも一時的な症状を軽減することしかできないでしょう。

 

②薬物療法

薬物療法で、ただ薬だけを飲むのではなく、環境調整や休養などと一緒に用いることが大切になります。その辺りも一緒に考えていけると良いでしょう。

 

主に使われるものとしては、SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)やSNRI(セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬)と呼ばれる抗うつ薬です。

 

そのほかにも患者さんの症状に合わせて抗不安薬、睡眠導入薬、気分安定薬、非定型抗精神病薬、なども処方されることがあるので、専門医と相談しながら決められると良いでしょう。

 

ストレス源を取り除くことを第一に、出てくるうつ症状や不安症状、睡眠障害などに対して薬を使っていけると良いでしょう。

 

③認知行動療法

うつ状態の有効性が示されているカウンセリングの方法として認知行動療法という方法が一般的です。

 

自動思考と呼ばれる否定的になってしまうクセや考え方などの認知を修正していき、状況の適切な認知ができるようにしていきます。同時に今までできなかったり、しり込みしていた行動もできるように獲得していくというものです。

 

うつ状態の人は先に紹介した「~すべき」「~しないといけない」という考えになって苦しくなっていることも多いので、その部分が解消していくだけでも症状が改善する場合もあります。

 

適応障害についてのまとめ

 

今回は埼玉県でカウンセリングを行う臨床心理士・公認心理師である筆者が、皆さんに適応障害について解説させていただきました。適応障害は私たちにとても身近な病気と言っても過言ではないくらい多く、悩まされている人がいます。

 

今回のまとめが適応障害に悩んでいる方や家族が適応障害に悩んでいる、うつ状態があって適応障害の可能性を考えている方の参考になれば幸いです。

 

もしも、適応障害に関して専門家に相談したいという方は、当カウンセリングオフィスのカウンセリングを是非利用してみてはどうでしょうか。

 

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