臨床心理士が日本一わかりやすく解説するうつ病!?
皆さん、こんにちは。
本日は、心の病として最もポピュラーで多くの方が知っているかもしれないうつ病に関して、臨床心理士・公認心理師である筆者が、どこよりもわかりやすく解説したいと思います。
心の風邪と呼ばれることもあるうつ病、実は誰しもなる危険性がある病気なのです。仕事や家庭でのストレス、人間関係のストレスなどによって引き起こされるうつ病にならないための工夫やその後の治療法も含めてご紹介いたします。
自身がうつ病で悩んでいるという方や、周りにうつ病で悩んでいる人がいるという方に読んでもらいたい記事になっています。
そもそもうつ病とはどのような病気なの!?
まず初めにうつ病とはどのような病気であるのかを見ていきたいと思います。
気持ちの落ち込みというのは誰しも経験することです。しかし、気持ちの落ち込む出来事からしばらくしても落ち込んだままであったり、気分が落ち込む原因を取り除いても落ち込んだままになってしまっているとうつ病の可能性があります。
うつ病の主な症状としては以下のようなものがあります。
①気分の抑うつ
②興味関心の低下
③体重の減少や増加
④不眠や過眠
⑤落ち着きがなくなる
⑥疲労感
⑦思考力や集中力の減少
⑧死について考える
このような症状が2週間の間で存在しているという状態がうつ病の状態と言われています。
厚生労働省の調査では、日本では100人中3~7人程度の人がうつ病を経験したことがあるといわれています。
男性と女性では、実は女性の方がおおよそ2倍程度うつ病になりやすいと言われています。それには、女性ホルモンの増減や妊娠、出産によるものも多いと言われています。
また、女性の方が相談へつながりやすいという傾向も女性の方が人数が多い理由としてあるかもしれません。
うつ病になる原因は!?
次にそんなうつ病になる原因について見ていきたいと思います。実はうつ病になる原因というのは正確にはわかっていません。
神経伝達物質の(セロトニン、ノルアドレナリン、ドパミン)のバランスの乱れが関係していると言われています。
しかし、この神経伝達物質の乱れだけではなく、本人の性格的な要因、うつ病を引き起こす環境的な要因など複合的に起こると言われています。
性格的要因としては、生真面目・完璧主義・自分に厳しい・凝り性・気を遣いやすい・ストレスを溜めやすいというのがあると思います。
また、環境的要因としては、学校や職場内での人間関係、受験や仕事での失敗、恋人の失恋や離婚、家族や友人との死別などのネガティブな大きなストレス、また、転職や引っ越し、結婚、出産などのポジティブなストレスもその要因になることがあります。
うつ病チャックリスト
ここまで説明してきて、もしかしたら自分はうつ病なのかもという方にうつ病のチェックリストをご用意いたしました。
過去の2週間を振り返ってもらって以下の質問に当てはまるか、当てはまらないかで答えてみて下さい。
また、4つ以上でなくても気分の落ち込みがある人は、以下のうつ状態がひどくならないための対処法で実施できると良いでしょう。
うつ状態がひどくならないための方法
先のチェックリストでうつ病まではいかないけど、うつ状態が続いている人におすすめの方法をご紹介したいと思います。
①身体を十分に休める
うつ状態が長く続いている人は、まずは身体を十分に休めることが大切です。十分に睡眠を取り、お風呂にゆっくりと使うなど身体を休められると良いでしょう。
必要に応じて、例えばお休みを取って体を休めると良いでしょう。または、休みの日に一日ゆっくりと横になるというのでも良いでしょう。
②おいしいものを食べる
次に食事を取ることも大切です。特に大切なのが、おいしいものを食べるということです。栄養のあるものを取るのも大切ですが、自分の食べたいものを食べるのも良いでしょう。
もしもダイエットしている人が居たら、少しダイエットは中断しておいしいものを食べて、身体と心のエネルギーの回復を目指せると良いでしょう。
③誰かに気持ちを話してみる
信頼できる誰かに今の気持ちを話してみるというのが大切でしょう。何か辛い気持ちがあるのであれば、自分の中にずっと抱え込まずに出してみると良いでしょう。
その際に大切なのが、自分の信頼できる人に話すということです。そして、いっぱい話しすぎて辛くなることもあるので、話したくないものは話さないということも大切です。
④好きなことに没頭してみる
自分の普段やっている好きなことに没頭してみるというのも良いでしょう。楽しいことをやるのは心のエネルギーを回復していきます。
しかし、あまり気分が向かない時は無理にするのは良くないので、好きなことのうち今の状態からできることを選択してやってみるのが良いでしょう。
これらの方法でもなかなか心の元気が出ないという時は、やはり必要に応じて専門家に相談してみるのをお勧めしています。
実際のうつ病のケース
では、うつ病の実際の状態というのは、どのようなものなのかというのをご紹介したいと思います。
クライエントは女性32歳の会社員。夫35歳、子ども4歳、夫方の義理の父母と同居している。数年前に夫の浮気が判明してから、夫を信用できなくなってしまった。育児に加えて、義理の父母の食事等の家事の世話に強いストレスを感じていた。
気分の抑うつ、頭痛、吐き気など症状を呈して、市販の薬を飲んでいたものの、症状は良くならずに、近所の内科を受診した。近所の内科で症状への薬を処方された。しかし、抑うつ気分が強くなり、誰とも話したくない、一人でいたい、死んだ方がいいのではないかと考え、次第に家事もできなくなった。
再び夫共に受診した、近所の内科から心療内科の受診を勧められて、受診することになった。心療内科でうつ病の診断がおり、死んだ方がよいということから、入院での治療を行うことになった。
入院治療で本人の療養と共に家族への心理教育を経て、状態が安定して退院した。退院後は、心療内科に定期受診と共にカウンセリングを行うことになった。
このような経過をたどるのがうつ病の状態です。実際のケースを少しアレンジしたものですが、このように様々なストレスが複合的に作用してなってしまうのがうつ病です。
始めは少し、元気のない状態から、次第に日常の最低限のこともできなくなってしまうというのが分かったのではないでしょうか。
うつ病の治療法!?
最後にうつ病の治療法についてまとめておきたいと思いますので、参考にしてみて下さい。
①薬物療法
薬物療法で、ただ薬だけを飲むのではなく、環境調整や休養などと一緒に用いることが大切になります。その辺りも一緒に考えていけると良いでしょう。
主に使われるものとしては、SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)やSNRI(セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬)と呼ばれる抗うつ薬です。
そのほかにも患者さんの症状に合わせて抗不安薬、睡眠導入薬、気分安定薬、非定型抗精神病薬、なども処方されることがあるので、専門医と相談しながら決められると良いでしょう。
②認知行動療法
うつ病の有効性が示されているカウンセリングの方法として認知行動療法という方法が一般的です。
自動思考と呼ばれる否定的になってしまうクセや考え方などの認知を修正していき、状況の適切な認知ができるようにしていきます。同時に今までできなかったり、しり込みしていた行動もできるように獲得していくというものです。
うつ病の人は「~すべき」「~しないといけない」という考えになって苦しくなっていることも多いので、その部分が解消していくだけでも症状が改善する場合もあります。
③ブリーフセラピー
うつ病に関して効果的な方法としては、問題の解決について一緒に考えるというブリーフセラピーという方法があります。
スケーリングクエスチョンやミラクルクエスチョンなどというブリーフセラピーの技法を使って解決方法をカウンセリングによって模索していくというものです。
詳しく方法を知りたいという方は、以下にブリーフセラピーについてまとめたものがあるので、そちらをご覧になってみて下さい。
https://honda-co.com/brief-therapy-ho…oro-soudanshitsu-1197
うつ病についてのまとめ
今回は、埼玉県さいたま市東浦和でほんだカウンセリングオフィスを営む、心の専門家である臨床心理士・公認心理師の筆者が、皆さんにうつ病について解説させていただきました。うつ病は私たちにとても身近な病気と言っても過言ではないくらい多く、悩まされている人がいます。
今回のまとめがうつ病に悩んでいる方や家族がうつ病に悩んでいる、うつ状態があってうつ病の可能性を考えている方の参考になれば幸いです。
もしも、うつ病に関して専門家に相談したいという方は、当カウンセリングオフィスのカウンセリングを是非利用してみてはどうでしょうか。