注意欠如多動症(ADHD)の人の理解と生きやすくするための配慮と工夫

ADHDの人の理解と生きやすくするための配慮と工夫

皆さん、こんにちは。

当然ですが、皆さんの周りにこんな人はいませんか?「不注意で良く忘れ物をしていまう」「なかなかじっとしていられない」と言った特徴を持つ人です。そういう特徴を持つ人はもしかするとADHDというものかもしれません。

今回は、ここ数年で世間にも広まりつつある発達障害の一つですADHDについて皆さんになるべく簡単にその特徴についてお話した上で、そんなADHDやその傾向のある人が少しでも過ごしやすくなるために考えられる配慮や工夫についてお話していきたいと思います。

ADHDという言葉自体よく知らないという人もいれば、知り合いがADHDらしいので少しぐらいは知っている、自分もADHDだと思うなど、様々な人が居るかもしれませんが、この記事で理解を深めてもらえたら幸いです。それでは早速お話していきたいと思います。

そもそもADHDとはどんなもの

まず始めに注意欠陥多動性障害と呼ばれるADHDとはどのような状態を指すものなのかというのを皆さんにご紹介していきたいと思います。ADHDとは、日本語での正式名称を注意欠如・多動症と呼ばれるもので、不注意と、多動性および衝動性を主症状とするものです。

少し前の文献や資料だと、注意欠陥多動性障害の名称になっているかもしれませんが、今では上記の名称が正しくなっています。このADHDというものは、ある日突然なるというものではなく、小さいうちから以下で説明する不注意と、多動性・衝動性やその兆候が見られ、複数の状況(学校と家など)でその問題がみられるもののことを言います。

つまり、大人になってからなんだか急に注意力がなくなったなという場合や、行動的になって落ち着かなくなったなという場合はADHDではなく他の可能性が考えられるということです。大人になってからADHDになるということはないということです。ただ、大人になるまでわからずに過ごしてきて、子供の頃からつかなかった診断がつく場合はあります。

また、もう一つ発達障害として有名なASD(自閉スペクトラム症)と両方で持っている場合も多くあるとされています。自閉症スペクトラム症については、以前まとめたものがありますので、詳しく知りたい方はそちらをご覧ください。

自閉症スペクトラムという発達障害について、どのような症状があり、原因は何があるのか、また、最新の研究を含めた対応方法として4つの方法について、臨床心理士である筆者が日本一わかりやすく解説しています。

ADHDの主な症状とはどのようなものがあるのか

次にADHDの主な症状としてどのようなものがあるのか見ていきたいと思います。先に上げましたが、ADHDは主に2つの主症状があります。それは不注意と多動性・衝動性という2つのものです。具体的な不注意と多動性・衝動性には以下のようなものがあります。

不注意

ここで言う不注意とは、注意を一点に持続的に向けることが難しく、直ぐに別のものや所に注意が移ってしまうことを言います。具体的には以下のようなことがあるとされています。

ケアレスミスを多くやってしまう

・課題に集中して取り組むことが難しい

・話しかけられたときにしばしば聞いていないように見える

・反抗しているわけではないのに注意が向いておらず指示に従えない

・よくものをなくしてしまう

・日々の活動の中で他に気が行ってしまうので忘れっぽい

不注意の中身としてこのようなものがあり、次々に気になってしまうために、部屋を片付けられずに散らかってしまうというのも大きな特徴として見られることがあります。この特徴は生涯続くという場合が多くあります。

多動性・衝動性

多動性や衝動性は、その字のごとくじっとしてられずに活発に動いたり、瞬間的に動いたりする症状が見られるものを指して言います。具体的に以下のようなものがあります。

・手足をそわそわと動かし続ける

・教室などで座っていなくてはいけない場所で、離席してしまう

・不適切な状況で走り回ったり、高いところに登ったりしてしまう

・話し出したら止まらない

・順番を待つことができない

・質問が終わる前に話だしてしまう

大人になっても常に動いて居たり、話し出したら止まらないという人はこの傾向がありそうですよね。ただ、この多動性・衝動性はうまく力に変えて行動しているというそんな人もいたりしますし、ADHDの人でも年齢と共にこの点は落ち着いてくるという人も多くいます。

ADHDになる原因について

次にADHDの原因についてみていきたいと思います。ADHDの原因は現時点では解明されていません。しかし、前頭前野や脳の神経伝達物質の働きによるものなど、先天的な脳機能の障害の仮説など、科学的根拠が示されているものもいくつかあります。

一昔前では、親の育て方などといわれていた時代がありましたが、現在では後天的な心理社会的問題であるとは言われていません。先天的なものであるために、遺伝的要因があるといわれています。

一卵性双生児の場合だと、二人ともADHDの確率は80~90%とされていますが、二卵性双生児の場合では、30%程度と言われています。また、男性系統の遺伝の方が、女性系統の遺伝よりもリスクが高いといわれており、ADHDのあるお子さんのお父さんにお会いすると、自分もそうだったというケースがあったりします。

繰り返しますが、親の関わりが原因でADHDになるとは考えずに、親は子供の行動に頭を悩ませている援助対象と考えるのが大切です。また、ある程度は社会や文化的に作られる側面も多く、近年注目されているので、ADHDの人数が多くなっている

ADHDの人の予後ってどうなのか

ADHDと診断された子、多くの場合子供はその後どのようになっていくのでしょうか。先ほどお話を少ししましたが、多動性・衝動性というのは、なくなるとまでは言わないまでも、年齢が上がるにしたがって基本的にはおちついていき、本人の工夫次第でそのコントロールスキルも向上していくといわれています。

思春期に入ると、児童期のようにやためったら動くということはなくなり、行動の抑制はできるようになるでしょう。しかし、不注意の方は一緒にお付き合いしていくということが必要かもしれません。

本人なりの工夫や周りの配慮というのがとても大切になっていく場所であると考えられます。ADHDは早期に発見されて、適切な援助が提供されれば、その予後も当然よいものへとなっていきます。

しかし、適切な援助を受けれないとやろうと思ってもうまくいなかい感じから、本人の失敗体験が募っていって自信を失って、二次障害(うつ病や適応障害など)を引き起こす場合もあるので、早めに支援につながっていくことは大切かもしれません。

ADHDの人が過ごしやすくするために

ADHDの人が過ごしやすくするためにはどのようにしていったらいいのかというのを最後に見ていきたいと思います。ADHDの人が過ごしやすくするには、必要に応じた適度な薬物療法と環境調節が大切であるとされています。

①薬物療法

ADHDへ原因を取り除く薬はないものの、その症状を緩和する薬はあります。あくまでも薬は頭痛に使う頭痛薬のようなものなので、環境調整とともに用いるのがいいでしょう。多動な部分が落ち着いたり、不注意が少しおさまるということがあります。

一般的に用いられる薬としては、コンサータ(メチルフェニデート)、ストラテラ(アトモキセチン)、インチュニブ(グアンファシン)などがあります。お薬に関しては、医師の指示の元に必要に応じて処方してもらうのが良いでしょう。丁度よい薬の量というのは人それぞれですので、そこの調整がカギになっていきます。

②環境調整(配慮と工夫)

薬は合う合わないというのがあるので、ADHDの人が過ごしやすいように環境を整えるというのが一番大切な部分です。環境調整がうまく行くだけで格段にADHDの特徴を持つ人は過ごしやすくなります。とりあえず考えられる配慮や工夫として以下のようなものがあげられます。

・注意がそれるような刺激をなるべく抑える(視覚・聴覚的な刺激)

・自分に合っている仕事を行う(デスクワークは避ける)

・子どもの調子の悪い時は集団で行わずに迷わず取り出し指導をする(個別指導)

・何かを覚える時は視覚刺激を使う(聴覚的な部分が苦手なことが多いため、得意な能力を活用する)

・その子に合った身体感覚を刺激して落ち着かせる(多動で落ち着かないという時は、狭い空間に身を置いたり、毛布をかぶったりする)

・注意持続できる時間内でできる課題を行う(座っていられる時間だけ課題を行う)

・学校ではADHDのある子にはみんなで関わる(

・増やしたいことは褒めて、減らしたいものは無視、増やしたい行動は褒めるなど一貫した対応をする

・本人の自尊感情や自己効力感を高めるために良い行動はタイムリーに褒めたり、役割を与える

本人の過ごしやすい環境を周りが整えていき、大人になったら自分のあっている環境に身を置いていくというのが大切です。この環境調整を行っていかないと本人も苦しく、本人を取り巻く周りも苦しい状況になったりします。

ADHDについてのまとめ

今回は、埼玉県さいたま市東浦和でほんだカウンセリングオフィスを営む、心の専門家である臨床心理士・公認心理師の筆者が、注意欠如多動症(ADHD)についてその症状への理解と、過ごしやすくするための配慮と工夫についてお話をさせて頂きました。

今回のまとめでADHDの理解が進んだのであれば幸いです。また、今回のまとめから、もしもあなたの周りにADHDの方が居たら少しでも当人が行きやすくなるように環境調整に協力してあげてみて下さい。

当人がADHDかもしれないという方は、二次障害の危険性もあるようでしたら、早めに専門家へのご相談が必要かもしれません。しかし、多くのADHD傾向の人はその多動力から意欲的に様々なことに取り組んでいるのもこれまた事実です。上手に付き合えているのであれば、それを自分の個性とみてやっていくのがいいかもしれませんね。

今回のまとめに関する疑問や感想はコメント欄までお願いします。また、当カウンセリングオフィスのカウンセリングをご希望の方は、お申込みページまでお進みください。

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