生活のしにくさを変えるかもしれない認知行動療法とは
皆さん、こんにちは。
自分の考え方で生活しにくくなっているそんな人が一定数いたりします。「~しなければいけない」などの考え方が特徴ですが、このように自分を追い込み生活しにくさを与えてしまう考え方を変えて、行動も変容させてしまうそんな方法があります。
それが今回皆さんにご紹介しようと思う認知行動療法という心理療法です。認知行動療法を別名をCBT(Cognitive behavioral therapy)と呼んだりもするもので、様々な心の問題を解決することに役立つものと言われています。
今回は、心の専門家である臨床心理士・公認心理師である筆者が、あなたの生活を少しだけ楽なものにするかもしれない認知行動療法についてお話していきたいと思います。
認知行動療法とは!?
まず始めに、初めて聞くという方もいると思うので、簡単に認知行動療法とは、どのようなものなのかというのを見ていきたいと思います。認知行動療法とは、ストレスやそれに起因する様々な症状や問題に対処するために認知と行動の変容を目指す心理学的なアプローチです。
主には心理療法の手法として用いられることが多いですが、その方法を自分だけで行うセルフケアとしても使うことができるものです。認知行動療法では、適切な認知や行動で、ストレスと上手に付き合うための方法を身に付けることで、心の健康を取りも出したり、維持する方法ということができます。
認知行動療法は、科学的根拠のある心理療法とされており、日本を含め多くの国注目されている心理療法です。また、日本では2010年より、うつ病者に対しての認知行動療法が健康保険の適応となった心理療法でもあります。
認知行動療法の基本的な考え方!?
認知行動療法の基本的な考え方としては、これからご紹介する2つのモデルがあります。
認知行動療法の基本的な考え方①
認知行動療法では、クライエントの抱える問題は、状況や対人関係といった環境と、それに対するクライエント個人の反応がお互いに影響し合った結果と考えます。
刺激(stimulus) ― 反応(Res Ponse) ― 結果(consequence)
※「反応」には「認知」、「気分」、「身体」、「行動」のそれぞれの反応が含まれます。
・「認知」とは、頭の中での思考やイメージのこと
・「気分」とは、嬉しい、寂しい、イライラすると言った心のなかでおこる気持ちのこと
・「身体」とは、生理的な反応のこと
・「行動」とは、外から見てわかるその人の動作や振る舞いのこと
どんな刺激に対して、どんな反応が起こり、その結果としてなぜ問題が続いているのかを明らかにして、対応を考えていきます。
認知行動療法の基本的な考え方②
認知行動療法のもう一つの基本的な考え方のモデルとして、自動思考とスキーマというものがあります。
自動思考
自動思考とは、とっさに、瞬間的に頭をよぎり思考やイメージのことです。何か起こったときに、パッとムカついたり、怖いと感じるような反応が自動思考に当たります。自動思考は浅い部分で体験されるといわれており、頭の深く根付いた思考ではありません。そのため、自動思考が起こったとしても時間が経てば消えてしまいます。
スキーマ
スキーマとは、その人の頭の中に長い年月をかけて出来上がっている継続的な認知やイメージのことを言います。スキンヘッドの人は見たら、それはみんな怖い人だと思うような認知がスキーマのイメージだと思ってみて下さい。その人の持っている信念や自己イメージ、価値観のようなものすべてがその人のスキーマに当たります。
認知行動療法の実際のステップ!?
認知行動療法の実際のステップは、セルフモニタリングを行い、その後コーピングを考える手順というのが一般的です。少し今の生活を楽にしたいという人は、実際に以下のステップでやってみるのもいいかもしれません。
①セルフモニタリング
セルフモニタリングとは、自身のストレス体験を自己観察するというものです。
(ⅰ)ストレス元への気付き
まずは、自分がどんなものからストレスを感じているのか、どういう環境要因によってストレスを感じているのかということに気付きます。
(ⅱ)自分の反応へ気付き
自身の反応に関して観察を行っていきます。具体的には先に述べた、認知、気分、身体、行動に関して注目していきます。
この際の注意として、認知、気分、身体の3つ目に見える形で明らかに見えるわけではないので、少し時間をかけて観察する必要があるかもしれないということです。
②コーピング
十分に観察ができ、問題のメカニズムが明らかになったら、次はその症状や問題をどのように解決していったり、対処していったりと考えるコーピング(対処)の段階です。
(ⅰ)認知でのコーピング
認知でのコーピングとは、何か嫌なことがあり、嫌な認知が頭に浮かんだ時に、あえて良い気分にさせてくることを思い出したり、違うことを考えようと認知を変えようとすることです。以前まとめた認知でのコーピングの一覧があるので、良ければそちらも参考にしてみて下さい。
(ⅱ)行動でのコーピング
行動でのコーピングとは、何か嫌なことがあり、緊張して呼吸が浅くなっているのに気づいたら、リラックスできるようにストレッチしたり、深呼吸をしたりと行動を変えようとすることです。こちらも以前まとめた行動でのコーピングの一覧があるので、良ければそちらも参考にしてみて下さい。
このように認知を変えてみたり、行動を変えてみて、コーピング(対処)を行っていくため、認知行動療法と呼ばれています。実際はこのようにモニタリングして、認知や行動を変えていくというステップを専門家と一緒に行っていきます。
認知行動療法のまとめ
今回は、さいたま市東浦和にあるカウンセリングオフィスを営む心の専門家である臨床心理士・公認心理師の筆者が、自動思考などで生活がしにくくなっている人に生活をしやすくするかもしれない認知と行動を変える認知行動療法についてお話いたしました。
認知行動療法の考え方から簡単ではあるものの手順や、名前の由来までわかっていただけたのではないででしょうか。認知行動療法は、うつ病はもちろん、パニック障害、強迫性障害、PTSD、摂食障害、統合失調症、睡眠障害など様々な心の病に適応されています。
今回、ご紹介した介入方法は認知行動療法の介入方法の一例で、数多くの方法があります。一人で出来る認知行動療法のように書籍になっているものもあるので、一人でやってみたいという方は買い求めて良いかもしれませんね。
今回のまとめに関する疑問や感想はコメント欄までお願いします。また、当カウンセリングオフィスへのカウンセリングをご希望の方はお申込みページまでお進みください。