臨床心理士が日本一わかりやすく解説するトラウマケア!?
皆さん、こんにちは。
本日は皆さんにトラウマとそのケアの方法についてわかりやすく簡単にご紹介したいと思います。
トラウマとは、そもそもどういうものなのかというところから、最新のトラウマケアの方法まで皆さんにご紹介していきたいと思います。
そもそもトラウマとは!?
日常でも使うことが多いかもかもしれないトラウマという言葉ですが、そもそもどういうことを意味しているのかということからお話していきたいと思います。
トラウマとは、日本語では心的外傷のこと、つまり「心の傷」のことを言います。災害や戦争体験、性的暴行などのショックな大きな出来事や死にそうなほど大変な経験をしたことで、心に傷を負ってしまい、その影響が長く続いている状態のこととされています。
そんなトラウマ体験の結果、パニック症状、抑うつ症状、不眠症、解離症状などを引き起こしてしまっている状態をPTSD(心的外傷後ストレス障害)と言います。
このトラウマという概念がピンとくる方も多いかと思いますが、心理学者のフロイトがトラウマという概念を広くひろめたと言われています。
トラウマになる原因は!?
実はトラウマになる原因は様々で、同じ事象を受けた人がすべてトラウマを抱えるという訳ではありません。
例えば、大きな災害を体験した人すべてがそのことをトラウマとして抱えるのではなく、その人個人の捉え方や、ストレス耐性によって、トラウマになる場合とならない場合があるのです。
トラウマの原因となる事象としては以下のようなものがあります。
・震災による経験
・津波などの恐怖体験
・交通事故の体験
・いろいろな種類のケガ
・いろいろな種類の病気
・困難な出産体験や手術体験
・愛する人やペットの死や別れ
・虐待体験
・勉強、仕事での失敗体験
・映画やドラマ、ゲームなどでの恐怖体験
・強いストレスがかかるような経験
・その他の恐怖体験など
このように上げていくとトラウマになる事象は切りがないほどあることが分かります。
最新の研究では、先のコロナウィルスに感染してどうにか一命をとりとめた人もその辛かった闘病生活がトラウマとなってしまっているとの報告もあります。
トラウマを抱えるとどうなるの!?
トラウマを抱えているサインとしては以下のようなものがあるとされています。
①突然記憶がよみがえって来る(フラッシュバック)
辛かった時の記憶やその時体験したことを何かのちょっとしたきっかけで思い出してしまうことです。
②常に緊張して張り詰めた状態でいる
辛い記憶がよみがえっていない時でも、身体がこわばっていたり、常にイライラしていたりします。
③記憶を呼び起こす場面を避ける
意識的であったり、無意識的につらい記憶を呼び起こす場所や人などを避けようとしたりします。
④辛いという感覚がマヒする
長期間にわたって辛い経験をしてきた人の場合、他の人か辛いと思うようなことであっても、そうとは感じなくなっていたり、優しさを向けられても感じられなくなっていたりします。
⑤症状が長く続く
一般的に辛いトラウマ体験があって、一か月は急性ストレス障害(ASD)と呼ばれる期間で、様子をゆっくりみて自然に治るのを待つ期間だったりします。しかし、それ以上長く続くと心的外傷後ストレス障害(PTSD)へとなってきます。
この他にも眠れなくなるといった症状や、身体が自分のものでないように感じる、頭痛やめまいなどがみられることがあるので、気になる方は専門家へ相談すると良いでしょう。
トラウマケアについて!?
このようなトラウマに対するケアの方法について、様々な研究がされてきました。その中から代表的なものをご紹介したいと思います。
①認知行動療法
認知行動療法によるトラウマケアは、トラウマが生じてしまっている認知を修正していくというものです。
トラウマ体験を自然に回復していく際に、回復の障害になっているものは何かというところに注目して、その考えへの変容をはかっていきます。
②EMDR
EMDRは脳のトラウマが記憶されている部分にアクセスを行い、適応的な情報処理が行えるように促していく方法です。
セラピストの左右に振る手を見るなどの眼球運動によって、記憶の再統合を行っていきます。
③SE
SEとは、身体的な(Somatic)経験(Experience)としてのトラウマを扱う方法として、開発されたものです。
身体的に感じられる様々な反応や、感じられるイメージを通じて、止まっている神経系の、トラウマのエネルギーを体に触れたり、必要なところにセラピストが触れながら開放していくというものです。
④Body Connect Therapy(ボディーコネクトセラピー)
ボディーコネクトセラピーとは、東京未来大学の藤本教授によって作られた、身体から働きかけるセラピーです。
身体感覚に注意を向けることで、脳と体とつなぎ、トラウマのエネルギーを体から解放していくという方法です。
⑤BASIC-Ph
BASIC-Phとは、イスラエルで紛争地や被災地でのストレスケアとして生まれた援助モデルです。
Belief(価値・信念)、Affect(感情・情動)、Social(社会的)、Imagination(想像)、Cognition(認知)、Physiology(身体)の6つのチャンネルから、自分の得意なストレスケアを知り、対処していくという方法です。
トラウマケアのまとめ
トラウマというものがどのようなことなのかという説明から、最新のものを含めたトラウマケアの方法をご紹介させてもらいました。
トラウマケアは、専門性と経験のある専門家ではないと、本当の意味でケアをしていくのは難しいものです。
専門の知識や経験を持たずにトラウマケアを行うと、トラウマ経験が再体験されることとなり、二次受傷などの可能性が高くなったり、トラウマの傷が大きくなる場合も少なくありません。
少なくともアダルトチルドレンなどを含めてトラウマケアを行う際は、臨床心理士や公認心理師などの専門資格に加えて、トラウマケアのトレーニングを受けている専門家にお願いする方が良いでしょう。