心の専門家である臨床心理士が自殺の実際について迫る!?
皆さん、こんにちは。
今朝は女優の竹内結子さんが自殺という衝撃的なニュースがありましたね。先日の俳優の三浦春馬さんの自殺のニュースに直後でとても驚きました。ご冥福をお祈り申し上げます。
今回は、そんな最近芸能人の自殺の報道が多い中で、心の専門家である臨床心理士が相談を受けることの多い自殺ついて実際に迫っていき、皆さんになるべくわかりやすくお話したいと思います。
自殺へのメカニズムについて知りたいという方や、自身や親族に自殺未遂や自殺企図のある方は是非読んでもらいたいお話になっています。
自殺に至るプロセスについて
日本では、現在年間2万人程度の人が自殺によって、命を落とすと言われています。10年ほど前までは年間3万人程度の自殺者がいたことを考えると、近年は減少傾向にあると言われている。しかし、まだ多くの人が自ら命を絶つという自殺で亡くなっています。
まず始めに自殺に至るプロセスについてお話していきたいと思います。自殺には根本には「死にたいほどの苦痛」があるといわれています。具体的には以下のステップを踏んで自殺に至ると言われています。
①このままの状態は耐えがたいほどの苦痛
死にたくなるほど辛い、生きている意味がわからない、苦しいという気持ちが続き、この状態は耐えがたいと思いを抱くと言われています。
②死ねば苦しみから逃れられるから死にたいと考える
必ずしも具体的な計画・実行に進むわけではないが、頭では考えている状況が続いていき、死ねば苦しみから逃れられると死にたいと思うようになると言われています。
③死ぬことを目的にした行為を計画し、実行に移す
自殺の手段を考えたり、調べたりするなど、死ぬことを目的にした行為について計画して、実行に移そうとすると言われています。
④実行したが命を落とさずに済んだor自分の行為によってもたらされる本当の死
実際に自殺で命を落とすのは、縊首や飛び降り、有毒ガスの吸引などの致死性の高いものが多く、死を強く望むほど実効性の高いものを選ぶと言われています。
このようなプロセスの中で起こって来るのが、自殺や自殺未遂だったりします。「死にたい」という訴えや自傷の繰り返しは、「死ぬほどつらい状況」の中で起きてくると言われています。
自殺者の多くは、死の数か月前に「死にたい」と訴えていると報告されおり、「死にたい」とは「これほど辛くなければ生きていたい」という叫びということもできます。
根本にある「死にたいほどの苦痛」が軽くならない限りは、「本当の死」に近づいてしまうおそれがあるということを理解しておかなくてはいけません。
このプロセスから重要なところは、多くの自殺者は「死にたい」ということを周りに伝えることで、ヘルプを出しており、これほどの苦しみから解放をされるなら死を選ぶしかないというように選択した結果、自殺へと計画して実行に移しているということがわかります。
自殺の多くが抱えている3つの問題
自殺にまで至ってしまう根本には、「死にたいほどの苦痛」があるとお話いたしました。これに加えて、以下の3つのような問題を抱えていると、より自殺へと至りやすくなると言われています。
①生活面での問題
生活面での問題とは、自身の子供時代に受けていたもしくは現在も受けている虐待被害、もしくは学校や職場などでのいじめ被害、身近な人の自殺や自殺未遂などの要素があると可能性が高まると言われています。
②メンタルヘルスの問題
メンタルヘルスの問題とは、うつ病や双極性障害などの心の病気を抱えていたり、アルコール依存症や薬物依存症などのなにか依存症を抱えていたり、という要素があると可能性が高まると言われています。
③社会・経済的な問題
社会・経済的な問題とは、返済しきれないほどの借金であったり、仕事上の悩みであったり、社会的な批判を受けてしまったりなど、このような要素があると可能性が高まると言われています。
自殺者の遺族から生前の様子を聞き取った調査によってこのような3つの問題が上がってきました。加えて、自殺者の多くはなかなか解決しにくいような問題を長期間に渡って抱えていたというデータもあります。これらの問題において、解決が容易ではない問題を抱えていたというのは、自殺者を考える上で大切な視点でしょう。
実際に自殺に至りやすくする3つの要素
今、紹介したような3つの問題とそれぞれで解決できないような問題を抱えていても自殺に至らない人はいます。このような3つに分類される問題と解決できないような問題に加えて以下の3つのような要素があると、より自殺のリスクが高まると言われています。
①所属感の減衰
自分には居場所がない、誰にも必要とされていない、自分は独りぼっちだというように、自分の所属感が感じられないと、自殺へのリスクは上がると言われています。人とのつながりがないから、自分くらい死んでも大丈夫だという思考に至ってしまうと言われています。
②周りへの負担感
自分は周りに迷惑ばかりかけていて、自分が居ない方が周りに人は幸せになれるというように、周囲への負担感を感じると、自殺へのリスクは上がると言われています。自分の行動や自分の存在が周りに迷惑をかけていると思うと、自殺思考に至ってしまうと言われています。
③心理的な自殺抵抗への弱まり
自殺をしようと思うと普通だと痛いからやめておこう、苦しいからやめておこうという思考に至るため、なかなか実行には移すものではありません。しかし、自傷行為や日常的な暴力による身体的な痛み、摂食障害、アルコール、薬物乱用などによるマヒで、心理的に自殺への抵抗が弱まり、自殺に至ってしまうと言われています。
このような痛ましい自殺を防ぐために
このような痛ましい自殺を防ぐことができればそれが一番よいことです。しかし、今見てきたように自殺へと導く要因はいくつもあり、年齢が高くなるほどその要因は複雑になっていきます。
どうすれば自殺を食い止めていく事ができるのかというと、それはとても難しい問題で、万人向けの良い方法というのは、実は存在しないというのが現実かもしれません。
もしも、自身の周りに自殺しそうな可能性がある人がいる場合は、自殺に実際に至りやすくなる3つの要素である、①所属感の減退、②周りへの負担感、③心理的な自殺抵抗への弱まり、を本人が感じすぎないように配慮できると良いでしょう。一番良い方法は、近くに寄り添ってただ居てあげることだったりします。
また、もしも自身が自殺を考えていてこの記事を読まれている場合は、まずは愚痴程度でも良いので自身の周りの人に話をしてみて下さい。きっとあなたの周りにも話をよく聞いてくれる人は存在しています。さらに、必要に応じてプロの力を借りてみるというのもとても大切です。地域の保健所や医療機関など相談機関を勇気をもって訪ねてみて下さい。
当相談室でも、オンラインでのカウンセリングを行っています。自殺に関しては、医療機関等の受診をお勧めする場合が多いですが、必要に応じてご相談してみて下さい。あなたと一緒に考えていくお手伝いはできます。