節分の日に自分の中の鬼を追い払う外在化
皆さん、こんにちは。
2021年の節分の日が実は2月3日ではなく、2月2日の今日であると知っていますか?あれ?毎年2月3日ではないのと思う方もいると思いますが、うるう年ではないですが、100年に一度程度ずれてしまうらしいのです。
1897年2月2日以来の124年ぶりということです。また、1984年には2月4日が節分の日だったということもあるようです。こんな珍しいのが今年の節分です。そんな珍しい今年の節分の日に、自分の中の鬼を追い払う心理学のテクニックとしての外在化というものをご紹介したいと思います。
心の中の鬼退治をすることによって、心を平穏に過ごせるかもしれないそんな方法を皆さんお話いたしますので、なんだか心が落ち着かないというそんな方は是非参考にしてみて下さい。
ナラティブセラピーにおける外在化
ナラティブセラピーというカウンセリングの方法があります。ナラティブとは「語り」という意味です。クライエントの今までの人生の物語をクライエント自身が再構築して新たな物語にすることで、問題の解決を目指していくカウンセリングの方法です。
人は自分の物語を語り直すことによってその捉えを変えることができると言われています。例えば、過去に大変な目に合っていたという人の捉え方も今の状況によって変わることがあります。
大変な目にあってそこから努力したことによって今大成できているとすれば、過去の大変な目というのはよかったという捉えになるかもしれません。しかし、今も引き続き大変な状況にあるとしたら、過去の大変な目を恨んでいるかもしれません。
そのように同じような過去の大変な目という同じことであっても、今の状況によってその捉え方が大きく変わっていくということです。これは実は語り直すことによっても同様に過去の状況の捉えは変わっていくことができるというのがナラティブセラピーと呼ばれるものです。
そんな語り直すことで過去なんて変わらないと思う方も多いかと思いますが、捉え方は変えていけるのです。この元の過去のことをドミナントストーリーと呼び、別の案としての過去のことをオルタナティブストーリーと言います。この捉えを変えるというのが、ナラティブセラピーにおける肝です。
この捉えを変える方法の一つとして、外在化と呼ばれる技法があります。今回は、この外在化という技法によってあなたの心の中のもやもやであったり、頭の中のごちゃごちゃなど、あなたの心の平穏を奪うものを鬼と見立てて、対峙する方法をご紹介していきたいと思います。
外在化による心の鬼退治!?
今回ご紹介する外在化とは、本来は心の中の問題として捉えてしまうことを、心の外の問題として外在化すること(語りを変えること)によって、心の中の問題を解決していこうという方法です。
このように書くとなんだか難しく感じる人もいるかもしれませんが、心の中の問題を例えば、節分なので鬼と見立ててみたり、虫を見立ててみたりするというものです。日本では、古くから、奇異な行動をする人を狐憑きと言ったり、変な蟲がついたという表現を用いたりすることが文化的にありました。
これがまさに外在化に当たります。もう少し日常的にも行っている例としては、子供がこけてしまって泣いているときに、そのお母さんが「痛いの痛いの飛んでいけ。」とおまじないをかけると、子供は泣き止んだりします。これも「痛み」という自分の中にありものを外に出す外在化の一種です。
このように特に日本人は古くからこの外在化というものを使っていました。外在化することによって、その人が悪いのではなく、その人についた鬼や狐、蟲が悪いということで、その人は悪くないというメッセージにもなっています。ここの部分が大切だったりします。
心の問題の場合は、その人のパーソナリティが悪いと責められてしまい自信をを失ってしまうということが起きてきます。そこでカウンセリングの中で、イライラが抑えられない人は、その人のパーソナリティがそうということではなくて、イライラ鬼のせいとしてみたり、学校にいけない人は、その人のパーソナリティがというように見ずに、なまけ蟲のせいとみることが有効というものです。
実際のカウンセリングでは、以下のように名前を付けることによって、外在化という技法をつかって、自分の中の鬼退治を行っていきます。
ケース1 いつもちょっとしたことで苛立ってしてしまう人
Aさんはいつも些細なことで苛立ってしまいます。通勤の電車が遅れた。前を歩く人が遅い。些細なミスをしてしまった。このような日常の場面でいつも苛立っているAさんは、このわきあがって来る気持ちに名前を付けました。
名前は、イライラ鬼とすることにしました。それ以降、苛立つたびに、今イライラ鬼がやってきていると考え、「イライラ鬼ありがとう。でももう大丈夫です。あなたの力を使わずにやっていけます。」と心で唱えるようになりました。すると今までより冷静にものごとに取り組めるようになりました。
ケース2 不登校の子ども
Bくんは不登校で悩んでいます。登校はしたいのですが、朝になるとどうも行きたくなくなってしまい、登校できないのです。このようになかなか登校できないBくんは、学校に行けないでいる気持ちに名前を付けました。
名前は、なまけ虫とすることにしました。それ以降、登校に向けて目標を立て、なまけ虫が出てきて目標が達成できないときは、なまけ虫が喜ぶもの(テレビを見る)を禁止することしました。すると目標を達成できない時はありましたが、次第になまけ虫の力は弱くなりました。
これは一例ですが、こんな感じに自分の引き離したい気持ちや心の一部に名前をつけて、それを退治してしまもうというのが、ナラティブセラピーでの外在化という方法です。
節分の日に自分の中の鬼を追い払う外在化のまとめ
今回は、さいたま市東浦和にあるカウンセリングオフィスを営む、心の専門家である臨床心理士・公認心理師の筆者が、節分の日に自分の中の鬼を追い払う方法として、語り直すことによって自分の捉え方を変えるナラティブセラピーという心理療法における外在化という方法をご紹介しました。
皆さんの中にも自分から切り離したいような気持があるという方は、ぴったりな名前を付けてみることによって、自分の中から外在化して、解決を試みてはどうでしょうか。ポップな名前を付けてみるのも良かったりします。
今回のまとめに関する疑問や感想はコメント欄までお願いします。また、外在化を専門家と一緒にやってみたいなど、当カウンセリングオフィスへのカウンセリングをご希望の方は、お申込みページまでお進みください。