トラウマ(PTSD)の症状と克服するための治療方法を臨床心理士が解説

心的外傷後ストレス障害であるトラウマ(PTSD)について解説

皆さん、こんにちは。

突然ですが、皆さんトラウマと言われてどんなイメージを持っているでしょうか?なんだか過去に辛い体験をして今もそれが残っていることとトラウマと言ったり、ちょっと上司に怒られたなど嫌なことで「これはトラウマだわ」と日常的に使う場合もあるかもしれませんね。

今回は、実は日常語で使われていて良く知っていそうで、よくわからない人も多いトラウマについて、あなたも持っているかもしれないトラウマ(PTSD)とその治療方法という題で臨床心理士・公認心理師の筆者が、お話していきたいと思います。

トラウマ(PTSD)の症状と種類!?

トラウマ(PTSD)の概要

まず始めにトラウマの概要についてお話していきたいと思います。トラウマとは、心的外傷のことを指して言います。外的や内的な要因により肉体的や心的に長い間それにとらわれてしまい、傷になっている状態のことです。

例えば、先の東日本大震災の津波被害を経験した人や今回のコロナ禍でコロナウイルスに感染して大変な経験をした人など、自然災害や事故、戦争、犯罪被害、虐待などのような極端なストレスによって引き起こされるものがトラウマです。

心的外傷(トラウマ)を負って1か月以内を急性ストレス障害(Acute Stress Disorder)と言い、1か月以上続く場合を心的外傷後ストレス障害(Post Traumatic Stress Disorder)と言います。

トラウマの症状

このような極端なストレスによってもたらされるトラウマでは、主に以下の3つの症状が現れると言われています。

①再体験(フラッシュバック)

過去に起きていたことを思い出すのではなく、まさに今起きているように感じてしまうフラッシュバックが起きてしまいます。また、寝ている最中に悪夢という形で見ることもあります。このように自分のコントロールできない形で思い出してしまうという症状があります。

②回避・麻痺

トラウマを引き戻すかもしれない引き金を回避しようとします。例えば津波のトラウマのある人が海や川、水辺を避けたりといったように回避を行います。そのため行動が制限されてしまいます。また、トラウマへの恐怖から自分のさまざま感覚を切り離してしまう麻痺も起きます。

③過覚醒

人が緊張状態や危険な状態にあると神経が高ぶって落ち着かない状態になります。このような状態が続いてしまうのが過覚醒の状態です。なかなか眠れなかったり、イライラと攻撃的になったり、集中が難しい状態になることもあります。

PTSDの種類

先に上げたトラウマの症状が1か月以上続いてしまうのが心的外傷後ストレス障害(PTSD)です。トラウマの度合いによりますが、PTSDにまでならずに急性ストレス障害(ASD)で終わるもののあります。ASDで終わらずに1か月以上続いてしまうPTSDには以下の2つの種類があります。

①単回性PTSD

単一の事件によるPTSD(トラウマ)のことです。何かの事件や事故、自然災害に巻き込まれてそのことによるトラウマのことで、「フラッシュバック」「過覚醒」などが強まることが多いと言われています。

②複雑性PTSD

単一の事件や事故に巻き込まれてのトラウマではなく、虐待やDVなど、長期にわたって慢性的に繰り返されるトラウマによって引き起こされたものです。「麻痺(感じなくてすむように)」や「解離(自分ではないようにしようとする)」の症状が強く出てきます。

トラウマ(PTSD)の治療方法

今紹介したような特徴のあるトラウマ(PTSD)の治療方法は、実は様々なものがあります。そんな様々あるトラウマの治療方法について、簡単にご紹介していきたいと思います。もしもトラウマの治療やケアを受けたいという人は、それぞれの技法の強みとそうでない部分や、合う合わないというのもあるので、詳しくはその技法を紹介するリンクページをのぞいてみて下さい。

EMDR(イーエムデーアール)

EMDR(Eye Movement Desensitization and Reprocessing)とは、眼球運動による脱感作と再処理法により、PTSDの治療を行うシャピロによって開発された心理療法のことです。視覚的、聴覚的な両価刺激を用いて、トラウマ記憶の再処理を行っていくという方法です。

具体的な方法としては、左右に振られるセラピストの指を目で追いながら、過去の外傷体験を想起するという手続きで行っていき、アセスメントや日誌記録などを含む8段階から構成されています。日本にも1500人のトレーニングを終えたトレーナーがおり、比較的ポピュラートラウマ治療の方法です。

PE(持続エクスポージャー療法)

PE(Prolonged Exposure Therapy)とは、不安障害のためのエクスポージャー療法の長い歴史と、PTSD の情動処理理論に基づいてEdna Foa教授によって開発された心理療法です。患者と治療者が⼀緒になってトラウマ記憶の中に分け⼊り、⼀緒に回復の道筋を辿り直す治療と⾔われています。

具体的には安心できる環境の元、トラウマを言語化してもらい避けていた自分の感情に触れていき、また、現実場面でも避けている場所に触れることで、実際は大丈夫であるという経験を積んでもらい不安の軽減を目指していきます。アメリカではトラウマ治療として効果のある方法であると言われています。

SE(ソマティックエクスペリエンシング)

SE(Somatic Experiencing)とは、トラウマ治療のメソッドとしてPeter Levine教授によって従来とは異なる心理学と神経生理学の観点から、身体感覚を使った心理療法です。神経系がトラウマによって抱えた過剰なエネルギーのゆっくりとした解放を目指しているため、トラウマやその体験につい言葉で語ることを重視しないという特徴があります。

具体的な方法としては、今ここの安全感を確かめながら身体に触れながら、身体的に感じられる様々な反応や、感じられるイメージを通じて、凍りついたまま行き場を失っいる神経系の、トラウマのエネルギーを安全に解放していきます。

BST(ブレインスポッティング)

BST(Brain Spotting Therapy)とは、EMDRのエキスパートであったDavid Grand博士によって精神分析、ソマティックエクスペリエンシング、そしてEMDR等の影響を受けて2003年に米国で開発されました脳と身体に根差した心理療法です。

具体的には、安心できる空間の中でトラウマを思い出している時の目の位置を活用していきトラウマを処理していきます。問題にフォーカスした高い活性化状態において身体の抑制機能を働かせ「終わっていなかったトラウマ反応を完了」させ、トラウマの影響を取り除いていくため、比較的早く行えると言います。

TFT(思考場療法)

TFT(Thought Field Therapy)とは、米国心理学のパイオニアの一人であったロジャー・キャラハン博士が1970年代の終わりに発見し、発展させてきた心理療法で、鍼のツボをシンプルにタッピングすることで心理的問題の症状を改善させていくものです。

具体的には、私たちが特定のことについて考えた時の思考場にアクセスして引きおこる不安などを起こす原因があれば不快感をタッピングで思考場に信号を送り、不快感を解消することで心理的問題を改善していきます。

Body Connect Therapy(ボディ・コネクト・セラピー)

Body Connect Therapy(ボディ・コネクト・セラピー)とは、藤本昌樹先生によって開発された従来から効果的であった心理療法のエッセンスに、全く新しい概念を加えて考え出した身体から働きかける心理療法です。

具体的には、愛着理論、ポリヴェーガル理論を下敷きにし、海外のエネルギー心理学(タッピング)や東洋医学の科学的な研究、眼球運動(両側性を主流とした刺激ではない)、ボディワークを活用していきます。

トラウマ(PTSD)の概要と治療方法のまとめ

今回は、さいたま市東浦和にあるカウンセリングオフィスを営む、心の専門家である臨床心理士・公認心理師の筆者が、トラウマの概要を説明した上で、トラウマ治療の方法として、EMDR、PE、SE、BST、TFT、BCTという方法について簡単に解説させてもらいました。

それぞれの治療方法に興味のある方は、それぞれの治療方法のリンクページを貼ってありますので、そちらのページに飛んでみて下さい。また、これらの方法でトラウマを治療したいという方も、ページに飛んでもらえると専門家へどのようにアクセスすればよいかというのがわかったりします。

今回のまとめに関する疑問や感想はコメント欄までお願いします。また、トラウマに限らずに当カウンセリングオフィスのカウンセリングをご希望の方は、お申込みページまでお進みください。

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