臨床心理士が日本一わかりやすく解説する選択性緘黙!?

 

皆さん、こんにちは。

 

今回は、聞きなれない人も多いかもしれませんが、選択性緘黙という心の病気について解説したいと思います。

 

ある場所では普通に話せるが、別の場所では話せなくなってしまうといういう選択性緘黙について、臨床心理士である筆者が分かりやすく説明いたします。

 

もしもあなたの周りや自身のお子さんにそのような傾向がある、自身もそういう傾向があるかもという方に読んでもらいたいものになっています。

 

そもそも選択性緘黙とはどんなもの!?

 

まず始めに選択制緘黙という心の病気がどんなものか見ていきたいと思います。

以前は場面緘黙というように言われていましたが、現在は選択性緘黙と言われています。

 

選択制緘黙とは、話す能力はあるが、特定の場所だと話すことができない、リラックスできるところであれば話すことができるが、そうでないところではできないという症状のものです。

 

例えば、自宅だと普通に楽しそうに家族と話すことができるが、学校では一言も言葉がでないというのがこの選択性緘黙にあたります。

 

話すことができないために、他者との交流を避けようとしたり、対人緊張が高かったり、集団の中で自己主張せずに目立たないようにしようという特徴もあったりします。

 

また、家でも学校でもしゃべらないというのを全緘黙と言いますが、選択性緘黙に比べると数は少ないと言われています。

 

このような症状が2~3か月持続することもあれば、何年も続くこともあるといわれています。

 

さらに、子どもが選択性緘黙の場合、家庭では普通に話をしているので、教師は知っていても親御さんは気づかないということもあります。

 

選択性緘黙の原因とは!?

 

選択性緘黙の原因は、単一の原因で起こるというものではなく、様々な複合的な要因によって起こると言われています。

 

心理・生理学的要因

一般的に繊細で感じやすく、何かに慣れるのに時間がかかったり人見知りが激しいという人はなりやすいと言われています。

 

環境的要因

入学や転校、クラス替え、転居などの急激な環境の変化や、いじめや病気などの怖い体験が要因となることもあります。また、バイリンガルの環境下で育ったなどの要因もあると言われています。

 

認知・言語的要因

発達障害や感覚過敏などによる認知的な偏りがある人がいます。また、およそ三分の一の選択性緘黙の人は、言語の発達がゆっくりであったり、複雑なコミュニケーションをとるのが苦手というのがあります。

 

以前は家庭的な要因によるものというのが言われていましたが、近年ではそんな育て方による要因というのは否定されています。

 

また、選択性緘黙の割合は200人に1人程度の割合であり、特に女性の方が多くみられるとも言われています。

 

選択性緘黙の支援の方法!?

 

選択性緘黙の支援の方法としては、無理に話させることよりも不安や緊張を和らげることが重要だと言われています。

 

また、安心できるように環境を整備していくことが最も重要であると言われています。そんな、安心できための方法として以下のようなものがあります。

 

①遊戯療法(プレイセラピー)

 

言語ではなく、非言語によって自身の内面を表現する遊戯療法は有効な方法と言われるでしょう。

不安や緊張などを例えば、人形を用いて表したり、絵を描いて表現したり、ボードゲームの中で自分の感情を表現したり行っていきます。

 

不安や緊張、ストレスをやわらげて適応が良くなっていくとされています。

 

②行動療法

 

本人が不安や緊張を感じる場所のランク付けを行っていきスモールステップで少しずつ声を出していくというやり方です。

スモールステップで話をできる場所を増やしていくことで最終的には普通に話をできる状態を目指します。

 

様々な場所で実践してみることで話せる場所を増やしていきます。

 

③認知行動療法

 

誤ってしまっている場面に関する認知を修正することによって話をできるようにしていくというのもです。

不安や緊張を覚える場面において、認知行動療法をすることによって、その場面への正しい認知を得ることができます。

 

話すことに対し瑠不安や緊張という認知の改善を目指して行っていきます。

 

④薬物療法

 

不安や緊張があまりに高いという場合には、薬の力も借りることができます。

学校場面で、不安や緊張が薬で少しでも抑えられるだけで、声が出やすくなったりします。

 

しかし、薬を単独で使うのではなく安心できるようにするなど環境調整と共に行う必要があります。

 

選択性緘黙のまとめ

 

選択性緘黙というものの理解と、その対応の仕方が分かったでしょうか。

 

選択性緘黙は劇的にすぐに良くなるというのはあまり多くなく、ゆっくりと回復していくということが多いものです。

 

そのため、話すこと無理に強要したり、話さないからと叱るのは逆に症状を悪化させる危険性があります。

 

それよりも根底にある本人の不安や緊張、ストレスというのを周囲が理解してあげるということが大切です。

 

選択性緘黙にお悩みの方、家族に選択性緘黙が居てお悩みという方は、必要に応じて当相談室も含めて専門家に相談してみることをおすすめします。

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