離婚が子供のメンタルヘルスに与える影響
皆さん、こんにちは。
今回は、離婚をする際に考えたい子どものメンタルヘルスへの影響と題して、埼玉県さいたま市緑区でカウンセリング行う心の専門家である臨床心理士・公認心理師である筆者が、皆さんにお話したいと思います。
あまり日本では実は論じられることの少ない離婚をした際の子どもメンタルヘルスについて、影響をなるべく少なくするための対応方法等をご紹介していきたいと思います。
実際にこれから離婚を考えているその保護者の方や、実際に離婚をしてから子どものメンタルヘルスの様子がおかしいなと感じている方に読んでもらいたいお話になっています。
離婚が子どもに与える影響!?
まず始めに離婚が子どもに与える影響について見ていきたいと思います。離婚は特に子どもに影響は与えないと考えている方もいるかもしれませんが、実は離婚が子どもに与える影響は多大なものがあると言われています。
逆に離婚が子どもに影響を与えないという場合は少ない、もしくほとんどないと言っても過言ではないと言われています。また、離婚の与える子どもへの精神的・身体的な影響は長期的におよぶ場合もあると言われています。
私自身の経験としても、カウンセリングにおいて、離婚の結果、子どもがチック、不登校、成績不振、うつ状態、自傷行為、非行、犯罪行為に及んでしまったという事例に多くであっています。以下から離婚が子どもに与える代表的な影響について見ていきたいと思います。
①不登校や引きこもり
離婚というのは、子どもへの心理的負担が実は多くかかっており、大人が考える以上にエネルギーを使っている場合が多くあります。その結果、学校へ行くエネルギーが無くなってしまって、不登校になってしまったり、引きこもりになってしまうということが起きます。
京都女子大学の棚瀬先生の研究によると、高ストレス状態の結果離婚後1年間程度は不適応状態に陥ると述べています。
②成績の低下
先に離婚はエネルギーを使うというお話をしました。エネルギーを使う結果、勉強をするエネルギーも当然なくなってしまいます。結果として成績の低下が起こります。また、安定しない家庭環境では、落ち着いて勉強に取り組むことも難しいかもしれません。
アメリカの心理学者、ジュディス・ウォーラースタインの研究によると、離婚を経験した子どもは両方の親から見捨てられるという不安から、学業成績に加えて、その後の社会的地位も低くなると言われています。
③他者への愛着形成への課題
両方の親から愛着を受けられないという事態は、自身のその後の愛着形成に関して課題になる場合が多いと言われています。また、離婚によって両親の自分への愛情に疑問を感じる場合もあると言われています。
結果としてその後もどのように他者と愛着を形成していってよいかということがわからずに、自身も離婚してしまう場合が多くあります。そうでない環境に育った子どもよりも3倍程度高いと言われています。
④心の病可能性が高まる
ある調査によると、精神科への入院患者を対象にした家庭環境の調査によると、両親の離婚を経験した人はそうでない人に比べて2倍程度に上ったとのものがあります。
満たされなかった愛情を求めるあまり、特にタバコ、アルコール、薬物、性などの依存症の危険性が高くなるとも言われています。依存までも行かなくても、喫煙者や飲酒者の割合も高くなると言われています。
このようにざっとまとめただけでも様々な影響を子どもに与えると言われている離婚、これ以外にもその個人ごとに様々な影響が出ると言われています。
一番は、離婚という事態を避けるのが子どもにとっては良いかもしれませんが、どうしても離婚せずにはいられないという事態もあるかもしれません。次に離婚の子どもへの影響をなるべく少なくする方法をご紹介していきたいと思います。
離婚の子どもへの影響を少なくするため
次に離婚の子どもへの影響を少なくするための方法をまとめてご紹介していきたいと思います。離婚を決意された方や、すでに離婚をしてしまった方は是非参考にしてみて下さい。
①子どもとの時間を大切にする
離婚して一人で育てるようになるということは、二人で行っていた時よりも、仕事や家事などで多くの時間を取られてしまうかもしれません。その結果として起きてくるのが、子どもとの時間が大きく減ってしまうという事態です。
忙しいながらも休日は子ども一緒に過ごしたり、一緒に家事をするなど、子どもとの時間を減らさないようすることが、離婚後の影響を少なくする上では大切でしょう。
②離婚について子ども話す
離婚についてしっかりと子どもに話さずに離婚をするという親御さんも少なくありません。しかし、これはあまり良いことではありません。子どもが小さいから時が来たら伝えようというのではなく、小さい子どもであってもしっかりと話をすることが大切です。
そんな離婚について話をすることも一回で終わらせるのではなく、複数回に渡って話をする機会を持てると良いでしょう。話をして子どもから出てくるショックや混乱、悲しみ、怒り、罪悪感と言った感情も受け止めることも大切な作業になっていきます。
③子どもを無理に大人にさせない
離婚によって、子どもは無理をして大人になるという場合が多くあります。一人では大変だろうと無理に家事を手伝ったり、本当は欲しいものを我慢したりなどです。このように無理に大人にすることは、その場では良いように見えるかもしれませんが、無理に大人なると間のぽっかり抜けた部分を後で埋め合わせするというのはとても大変なことになります。時には、無理に大人になったために心の病につながることもあるのです。
そのように無理に大人にしないためには、必要に応じて社会的なサービスを使ったり、おじいちゃんおばあちゃんが居れば、その力を借りるというのがいいかもしれません。
④もう一方の親と協力して子どもをサポートする
離婚すると親権を得た親のみが子育てをして行くという形になってしまいガチです。しかし、子どもは両親二人の子どもです。もう一方の親とも協力しながら子どもをサポートできると良いでしょう。
また、離婚すると一方の親のことを悪く言うという事態もよく起きます。しかし、子どもとしてはそれは複雑なもの。なぜなら、自分の半分はもう一方の親からできているため、時には自分をも否定されたと感じてしまうかもしれません。そのため、もう一方の親へ対しても敬意を示せると良いでしょう。
⑤可能な限り他にオープンにする
自分だけ片親というのを隠さないといけないという状況はとても子どもにストレスを与えてしまいます。そのため、なるべくなら子どもの友だちに開示したり、習い事の先生などを含めて離婚事実を伝えられると良いでしょう。
そのようにオープンにすることによって結果として、親も支援を受けられたり、一人で育てていく負担を軽減できるかもしれません。
⑥必要に応じてセラピーを受ける
子どもによって反応は様々です。親御さんだけでケアをすることが難しいという場合も当然生じます。その時は、必要に応じて専門家の力を借りるというのもいいかもしれません。
一般に子どもに対して行われるセラピーとしては、プレイセラピーと呼ばれる遊びを通して、うまく処理されずに残ってしまっている心のしこりを取っていったり、消化していったりしていくというものです。
離婚する際に考えたい子どものメンタルヘルスへの影響のまとめ
今回は、埼玉県さいたま市東浦和でほんだカウンセリングオフィスを営む、心の専門家である臨床心理士・公認心理師の筆者が、子どもが離婚によって受ける影響についてお話して、そんな影響を小さくするための方法をまとめてご紹介させて頂きました。
今回ご紹介したもので、離婚を考えている人や離婚をした方の子ども達が、少しでも良好なメンタルヘルスでいられるヒントになればと思います。
しかし、離婚による子どもたちの反応は様々です。今回ご紹介した以外の反応も当然出ますし、それは十分に対応をしていても起きてしまうものです。また、離婚した親御さん自身が心を病んでしまうという場合も多くあります。
今回のまとめに関する疑問や感想はコメント欄までお願いします。また、離婚をして自分の子供状態が心配だという方は、当カウンセリングオフィスのお申込みページまでお進みください。