不登校やひきこもり状態にある子が回復していく3つのプロセス
皆さん、こんにちは。
今回は、心の専門家である臨床心理士・公認心理師である筆者が、不登校のお子さんの歩むプロセスについてのお話をしたいと思います。どういうプロセスで不登校になり、どういうプロセスで不登校から回復していくのかというをご紹介していきたいと思います。
今回のお話は、お子さんが不登校のさなかにあるという親御さんや、不登校になりかけているという子がいるという家族がいる方に読んで頂きたい話になっていますので、今後どのようになるのか不安な方は是非読んでもらえたらと思います。
不登校の状態を理解
不登校とは、文部科学省の定義では、何らかの心理的、情緒的、身体的あるいは、社会的要因や背景により、登校したくてもできない状況にあるために年間30日以上欠席したもののうち、病気や経済的理由によるもの除いたものとされています。
不登校の人数は文部科学省の定義ではおおよそ20万人程度居ると言われていますが、部分登校や保健室登校、相談室登校などを含めるとその倍の40万人程度居ると言われています。
文部科学省の定義では、小学校では185人に1人程度、中学校では31人に1人程度、高等学校では66人に1人程度の人数とされていますが、実際としてはその倍程度いるということなのです。
また、不登校の人数は近年増えていると言われており、その背景には、社会的に不登校もやむなしという雰囲気があるためと言われています。しかし、家族が不登校や引きこもりになってしまい、悩んでいるという家族の方が多くなったというのもまた事実です。
そこで今回はそんな不登校の子がたどる不登校からの回復のプロセスについてお話しておくことで、どのようにして不登校状態に陥った子が元気に再登校したり、自身の進みたい分野に邁進していけるのかということをお話していきたいと思います。このお話を聞くことで、安心できるという親御さんも多いはずです。
不登校のお子さんが歩むプロセス
不登校のお子さんが歩むプロセスとしては、大きく混乱期、低迷期、回復期の3つの段階があると言われており、それぞれの段階ごとに解説していきたいと思います。
①混乱期
不登校の兆し(登校渋りなど)が見える段階で、子どももどうにかしようと頑張り、保護者も頑張るものの、努力が思うように実らずに、徐々に混乱していく段階のことです。
(ⅰ)初期 登校はしているものの、ぎりぎりだったり、遅刻をしている状態
子どもとしては、勉強、部活、友人、家族関係で様々な疑問や不安を感じつつも、これまでの自分を維持しようと焦っている時期です。保護者としては、なんだか朝ぐずぐずしていて行かない、元気がないように感じる、声を掛けても生半可な返事しかなどの様子が見られるかもしれません。
対応としては、お子さんの無理のないような生活をさせてあげたり、リックスさせてあげるなどの対応が有効でしょう。
(ⅱ)中期 初めは体調不良かと思っていたが、度々休むようになる状態
子どもとしては、「何で学校に行かないといけないの?」「どうして勉強しなくちゃいけないと」混乱を抱えている時期です。保護者としては、頑張れば学校に行けるので無理していけばいいのではないか、何で度々休むのかと苛立つ人も居るかもしれません。
対応としては、本人の気持ちに耳を傾けてあげるといいでしょう。どうして欲しいのかなど気持ちを尊重できると良いでしょう。
(ⅲ)後期 学校を休むだけでなくノートや教科書を捨てたり「死にたい」と言ったりする状態
子どもとしては、不安や焦り、怒りなどから来る混乱状態に疲れ、攻撃的になったり、自暴自棄になってしまっている時期です。保護者としては、どうしてこうなったのか、「勉強して欲しい」「友達を作って欲しい」「行事に参加して欲しい」など願いが先行したり、保護者自身も自暴自棄になっているかもしれません。
対応としては、保護者自身が専門家に相談をしたり、本人のエネルギーが溜まるように休ませてあげる対応が有効でしょう。
②低迷期
全く登校できなくなり、家で好きなことしかやらないなど、全体的に心身の活動が低下して、エネルギーが乏しくなって、静かに過ごしている段階。
(ⅰ)初期 混乱しないで済むように「不安になること」「焦ること」は避け、少しでも安定していることを望む状態
子どもとしては、「疲れた」「眠い」「ほっといて欲しい」と思いながらも、ゲームばかりしていていいのかとも思う段階です。保護者としては、誰かを責めたくなったり、自分を責めたくなったり、心は日々乱れている状態かもしれません。
対応としては、お子さんが少しでもできるゲームなど好きなことをさせるようにつとめて、ピリピリした感じを出さずに、保護者も本人を見守りつつ、自分の好きなことができるといいかもしれません。
(ⅱ)中期 将来への不安を感じるとともに、いつ安定した状態を崩壊させるか周囲に対して疑心暗鬼になり、現状をなんとか維持しようとする状態
子どもとしては、エネルギーが十分に溜まったという自覚がありますが、休んでいる間の勉強や学校への不安を感じます。保護者としては、いつになったらこの子は動き出すのだろうかと焦りを感じて、つい先走った発言をしてしまうかもしれません。
対応としては、少しずつできることを増やしていけるといいかもしれません。生活リズムを整えたり、学校の先生と相談して少しずつ勉強の時間を持つというのも良いかもしれません。
(ⅲ)後期 どこか物足りなさを感じ、動きたい衝動に駆られる一方で、同じ苦しみを味わいたくないので躊躇する状態
子どもとしては、ゲームを飽きたし別のことをしたいし、何か楽しいことはないかなと考えるが、一歩踏み出す勇気がない状態です。保護者としては、暇だというなら勉強すればいいじゃないかと思うかもしれませんが、無理にやらしてもと迷うかもしれません。
対応としては、勇気をもって何か頼んでみたり、誘ってみるというのもいいでしょう。「一緒にする」ということと、「学校には関係の薄いことから始める」というのが大切です。
③回復期
エネルギーが少しずつ補填されてくると、身体も心も活動したいという衝動でうずき始め、スモールステップを積み重ねながら、少しずつ前に進む段階。
子どもとしては、「出かけたいけど大丈夫か」「やってみたいけどできるか」また動き出そうと思うが不安に感じている状態です。保護者としては、お子さんの状態が戻ったり進んだりと苛立ちや不安を感じるかもしれないし、どんな手伝いをしたらと揺れている段階かもしれません。
対応としては、緊張や不安のあるお子さんの状態を十分に理解した上で、本人の意思を尊重しつつ、自信を取り戻していけるようにサポートできるといいかもしれません。
不登校のお子さんの回復プロセスのまとめ
今回は、埼玉県さいたま市東浦和でほんだカウンセリングオフィスを営む、心の専門家である臨床心理士・公認心理師の筆者が、不登校のお子さんの通る一般的な回復までのプロセスについてまとめさせていただきました。
あくまでもこれは例なので、必ずしもこのプロセスをたどるわけではありません。しかし、今現在まさにゴールの見えない、不登校のお子さんへの対応を苦慮している保護者や不登校のお子さん自身の光となる部分もあるでしょう。
もしも不登校の状態にあるしたら、自分が今どの段階にいるのか、お子さんがどの段階にいるのかと考えながら、その対応を参考にしてもらえたら幸いです。また、ご家族だけで悩まずにスクールカウンセラーやお近くの相談機関への相談をしてみるというのいいかもしれません。
今回のまとめに関する疑問や感想はコメント欄までお願いします。また、当カウンセリングオフィスのカウンセリングをご希望の方は、お申込みページまでお進みください。