精神疾患に医学診断名をつけることの危険性と必要性!?

 

皆さん、こんにちは。

 

今回は、心理学のラベリング効果から考える精神疾患に医学診断名をつけることの危険性と必要性というテーマであくまでも臨床心理士・公認心理師である筆者の立場でお話したいと思います。

 

ちょっと難しそうなテーマだなと思われる方もいるかもしれませんが、なるべくわかりやすくお話したいと思いますので、是非最後まで読んでいただけらと思います。

 

心理学でのラベリング効果とは!?

 

皆さん、ラベリング効果というものをご存じでしょうか?ラベリング効果とは、「あの人ってこういう人だよね」というように明確な根拠がないのにも関わらずに決めつけてしまい、先入観や固定観念を持ってしまうことです。

例えば、学校で「あの人ってちょっと変わっているよね」というように思われたとすると、はじめは特にその人のことを変わっていると思わなかった人も、変わっているなという行動ばかりが目についてしまい、「たしかにあの人は変わっているね」というようになってしまったりします。

 

例えば、職場で「あいつは仕事ができないよね」というように思われると、これもそうとは思っていなかった人もそのような見方になって、そのような行動が目立つようになり、本人も周りからそのようにみられているという緊張から本当に仕事のミスが増えるかもしれません。

 

このように誰かに「あの人ってこういう人よね」「あの人ってこういうところがあるようね」というようにラベリングをしてしまうと、よりそのようにラベリングした事実を集めてしまったり、実際に本人もラベリングされた行動通りにとってしまうことがあるのです。

 

これがラベリング効果の怖いところです。周りがそういう見方を強めるというのと、本人もその見方へ寄っていってしまうということです。つけられたラベリングがポジティブなものであればいいですが、上記の例のようにネガティブなものであるならば、そちらによって行ってしまうということです。

 

精神疾患の診断について

 

心理学のラベリング効果について解説したところで、精神疾患の診断について皆さんにお話していきたいと思います。精神疾患の診断は、他の病気の基準とは少し異なります。他の病気であれば、多くの場合、検査の結果この病変や数値が見られたからこの病気でしょうという確定診断がなされます。

しかし、精神疾患の診断の場合には違います。精神疾患の場合には特定の原因というのが見当たらないものが多いため、現れる症状によって病名をつけていきます。例えば、抑うつ症状がみられて、食欲もなく、寝れておらずなどの症状からうつ病という診断がおります。

 

うつ病になる特定の病変が確認されたり、検査でこの数値だったからうつ病という診断が下るわけではないということです。そのため、うつ病だと思っていたら実は双極性障害(躁うつ病)でしたなんていうことも起こってきたりするわけです。

 

ラベリング効果と精神疾患の診断

 

ここで考えたいのが、先にお話したラベリング効果と精神疾患の診断についてです。精神疾患と医師に診断されてラベリングされたらどうでしょうか。

 

医師の言葉は、クラスの誰々さんのうわさ話や同僚の部署の何々さんのうわさ話とはレベルが違います。例えば、医師が自閉症スペクトラム障害ですと診断したとしましょう。そうすると例えば周りは今までのその人の行動を思い出して、そういえばコミュニケーションが一方的だったねと思い出したり、これからも自閉症スペクトラム障害の症状に当てはまる部分により意識が行くでしょう。

 

また、本人も自分は自閉症スペクトラム症だと診断されたということで例えばコミュニケーションにおいて、周りに迷惑をかけていないかと気にしすぎたり、意識しすぎてよりうまくいかなくなるという場合もあるかもしれません。そういった意味で診断は慎重になされるべきだと思います。

 

医師の精神疾患の診断は、それがその人のその後の生活にとって使えるものであれば非常に役立つものであることは間違いはありません。休職のためにうつ病という診断が必要だったり、行政サービスを受けるためにADHDという診断が必要だったりということはあるでしょう。

 

また、本人が生きにくい環境で生活し続けることによって生じる様々な不調である2次障害を防ぐために診断が必要という場合もあるでしょう。さらに、今までわからなかった自分の状態像が診断名をつけてもらったということで安心できたという人もいるでしょう。

しかし、診断名だけが独り歩きしてしまった結果その人個人で見られなくなるという場合も存在しています。そのため、私がカウンセリングで大切にしていることは、事前に診断名などがあり、医療機関から紹介されるクライエントさんであっても、その人自身を見るということです。

 

ここで皆さんにわかっていて欲しいこととしては、結構私たちは周りの人の評価、時には診断名によってその人を見ていることがあるということです。そのため、なるべくその人自身をを見るように心がけてもらえたらいいのかなと思っています。

 

精神疾患に医学診断名をつけることの危険性と必要性!?

 

今回は、心の専門家である臨床心理士・公認心理師である筆者が、心理学のラベリング効果から発達障害などの精神疾患に医学診断名をつける危険性と必要性についてお話しました。

 

今回のまとめから、皆さんは是非周りからの先入観や診断名にとらわれすぎずにその人自身を見るようにしてもらえたらと思います。また、あなた自身になんらかのラベリングがされているとしたら、それはあくまでもラベリングですのでいかように変えることができるものだったりします。

 

今回のまとめに関する疑問や感想はコメント欄までお願いします。また、当相談室のカウンセリングをご希望の方は、お申込みページまでお進みください。

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