いじめられていると言えない子供に大人ができること!?
皆さん、こんにちは。
今回は、埼玉県さいたま市緑区東浦和でカウンセリングを行う臨床心理士・公認心理師の筆者が、いじめを題材にお話させて頂きたいと思います。
いじめられている子の中で多いのが、実はいじめられていると言えない子供たちです。皆さんも小さいころを思い出してもらうと、いじめられていると言えずに我慢していた、我慢している子がいたなと思い出すかもしれません。
そんないじめられていると言えない子供たちに大人がどんなことができるのか、なぜ子供たちはいじめられていると言えないのかということに関して、心の専門家である臨床心理士・公認心理師である筆者が、お話していきたいと思います。
もしかしたら自分の子供がいじめられているかもしれないと思う親御さんや、学校関係者の方々に読んで頂きたい記事になっています。
子供たちはいじめをどのくらい相談するのか!?
いじめられている子があまり相談をしないと言いましたが、実際にどのくらいの子供がいじめられているということに関して相談しているのかということを見ていきたいと思います。
あるいじめに関するアンケート調査によると、いじめを受けていても小学生の27%が、中学生の35%が誰にも相談しなかったと回答しています。これは、アンケート調査によるものなので、もしかするとアンケートにも書かなかったといういじめられていたが相談しなかったという子がもっと多いかもしれません。
相談先としては、親が小学生の38.5%、中学生の24.7%、友達や先輩が小学生の7.6%、中学生の10.6%、学校の先生が小学生の13.6%、中学生の14.1%という結果でした。親や先生など大人に相談しているという割合が半分程度あるという結果でした。その他にもネット上でなど第三者に相談するという割合も一定数増えていたりするというものでした。
誰にも相談しなかったという理由について、この調査では聞いていてそれによると「親に迷惑をかけたくなかった」「いじめがより悪化すると思った」などの理由が寄せられていたとのことでした。このように誰にも子供たちが相談しないという沈黙してしまう背景にはそれぞれ様々な要因があると言われています。
いじめを沈黙してしまう要因
それでは、いじめを沈黙してしまう要因について詳しく見ていきたいと思います。
①状態的無力感
長期間に及ぶいじめられて体験によって、精神的に追い詰められて、相談することができない状態にあること。
②学習性無力感
これまでの大人に相談しても何も解決してもらえなかった体験によって、相談しても何も変わらない、相談しても悪化すると思って学習してしまったこと。
③正常性バイアス
自分のいじめられ体験を低く見積もって、わざわざ相談するようなことではないと判断して相談しないでいること。
④告発を悪とする文化
誰か大人に話す(チクる)のは恥ずかしいことであり、弱虫がするズルさの象徴であると思い込まされてきたこと。
⑤孤立状態
身近な大人と良好の関係ができていないことなどから、相談する相手が居ないと孤立状態にあること。
⑥相談場所のアナウンス不足
どこに行けば相談ができるのか、何があったら相談していいのかというのを知らせれていなかったり、相談手段を知らなかったり、匿名の相談先などのアナウンスが不十分であること。
⑦自己犠牲的な配慮
相談することで親を心配させたくない、教師の手を煩わせたくなくと考えてしまい、自分が我慢してしまうこと。
⑧報復への恐怖
相談することが露見することで、逆恨みされ、さらなる攻撃を誘発してしまうのではないかと恐れること。
このようなことを心配して多くのいじめられている子供たちは相談することを躊躇してしまうと言われています。しかし、実際にはいじめられたという相談をすることによって、多くの場合は改善に向かうといわれており、もしもこのお話を子供たちでいじめられているという子が読んでいたら、是非誰かに相談して欲しいと思います。
また、相談を受ける親御さんや教師など学校関係者の方は、このような気持ちの中相談をしてくれたということを考えながら、話を聞いていく必要があります。
いじめの話を聞くときやってしまう誤り!?
いじめの話聞く際に周りの大人が次のような聞き方をすると、子供たちは大人を信用することができなくなってしまい、いじめの相談を二度としなくなってしまうと言われています。
①加害の否定
「そのくらいのことで大げさだ」「あの子はそんなことをしない」「勘違いなんじゃないの」とせっかく相談してしてきてくれたいじめられ体験を否定してしまうということ。
②被害者の非難
「あなたが強くならないとダメだ」「あなたにもいじめられるようなことをした原因があるのではないか」「喧嘩両成敗でお互い様」と被害者自身を非難するようなこと。
③受忍の押しつけ
「謝って来たんだから許してあげなさい」「今のうちは我慢をすることだ」「その年齢ではよくあることだ」というように、受け入れることや耐えることを無理に押し付けること。
④楽観的な不関与
「きってあなたに興味があるだけよ」「かまって欲しいだけだよ」「別のことで見返してやりな」というようにあまり大事と捉えずに何も関与しないこと。
⑤非対応の宣言
「証拠がないとなにもできない」「それくらい自力で解決できるでしょう」「問題を起こさないで仲良くしなさい」というように、問題として取り合わずに何とかさせようとすること。
このような対応をされて来た、もしくはしてしまったという方も多いかもしれません。しかし、このような対応と受けた子供たちは二度とその大人に相談しようと思わないでしょうし、いじめに苦しみ続けられることになるでしょう。
自分の子供がいじめられているかもと気になる親御さんや学校関係者の方、子供たちと関わる仕事をされている方は、このようないじめ対応だけは決して行わないようにしてください。
いじめられていると言えない子供にできること!?
先に挙げた対応は行わないようにというのを大前提として、いじめられていると言えない子供に何ができるのかというのを見ていきたいと思います。
①小さな変化に注目する
いじめられているかもしれないけど、不確定な状態の時は、周りの大人としてできることは小さな変化に注目するということです。例えば、消しゴムやえんぴつなどの持ち物の紛失はないか、服は汚れて帰って来てはいないか、学校の話が最近少なくなってきていたないか、表情はどうかなど、今までと違うネガティブな小さな変化に注目していきます。
また、もしかすると学校への行き渋りという形で少し大きな変化として現れるかもしれませんが、そのようなものも含めて、子供の変化について注目していきます。また、小さな変化を周りの友だちや大人から聞けることもあるかもしれませんので、その辺も注意しておきます。
②小さな変化の心配を伝える
小さな変化が見られるようなら、そっと小さな変化について伝えてみる。「こんな様子が少し心配なんだけど」「○○というのがあってどうしたのかなと思って」というように小さな変化を心配しているということをそっと伝えてみます。
伝えた上でも「何かあったら相談してね」「もしも何かあるならお話してね」というように無理に聞き出そうとはせずに、心配しているし、話を聞くことができるよというメッセージを伝えます。なかなか、面と向かってというのが難しい場合は、手紙やLINE等で心配を伝えるのもいいかもしれません。
③話をしてきたら共感的に聞く
本人から話が出てきたら、ゆっくりと先の誤りをしないように話を聞いていきます。話を聞いていく時に「それは辛かったね」「そんなことがあって大変だったね」というようになるべく相手の気持ちを想像しながら共感的に聞いていけると良いでしょう。
また、「よく話してくれたね」「話してくれありがとう」という形で話してくれたことに労いながら話を聞くことも大切でしょう。話してくれるまでに時間がかかる子も多いかもしれませんが、話をしてくれたらこのように聞けると良いでしょう。
④関係機関や関係する人と一緒に関わり対応する
話が出てきたらその後の対応も大切です。本人を取り巻く関係機関や関係する人と一緒にいじめへの対応を行っていきます。この対応が十分にできなくては、せっかく話してくれた本人の大人への期待を裏切ることになってしまいます。
親御さんがお子さんから話を聞いた場合は、担任の先生やスクールカウンセラー、管理職などと一緒に相談できると良いでしょう。担任の先生が聞いた場合は、周りの状況を見ていた子からの聞き取りをした上で、スクールカウンセラーや管理職、双方の親御さんと相談ができると良いでしょう。また、学校がスムーズにいじめ対応を行ってくれない場合は、必要に応じて教育委員会の指導部や指導課などへ問い合わせたり、学校関連に強い弁護士へ相談するのも手でしょう。
いじめられていると言えない子供に大人ができることのまとめ!?
今回は、埼玉県さいたま市でJR武蔵野線東浦和駅徒歩1分でカウンセリングを行う心の専門家である臨床心理士・公認心理師である筆者が、いじめられている子がどうしていじめを言い出せないのかということを解き明かしてから、どのような形で話を聞いていったらよいかということをお話させて頂きました。
今回の話から、いじめへの対応の参考になったのでしたら幸いですし、今回のような対応をしてくれる大人が多くなることで、いじめの状況から救い出せる子供たちが多くなるのではないかと思います。
今回のまとめに関する疑問や質問がありましたらコメント欄にお寄せください。また、いじめに関するご相談も含めて専門家にご相談したい方は是非当カウンセリングオフィスでのカウンセリングをご利用下さい。