臨床心理士が日本一わかりやすく解説する解離性障害とは!?

 

皆さん、こんにちは。

 

今回は、自分が自分であるという状態が失われてしまう心の病である解離性障害について、埼玉県さいたま市緑区のJR武蔵野線東浦和駅徒歩1分でカウンセリングを行う、心の専門家である臨床心理士・公認心理師である筆者が、解説したいと思います。

 

解離性障害というものがどのようなものか知りたいという方や、あなたの周りに解離性障害の方が居るという方に是非読んでもらいたいお話になっています。

 

そもそも解離性障害とは!?

 

まず始めは、解離性障害とはどのようなものなのかというのを見ていきたいと思います。

解離性障害とは、自分が自分であるという感覚が失われてしまう障害と言われています。例えば、ある出来事に対する記憶がすっぽりと抜けてしまったり、現実感を持てなくなってしまったり、自分の知らない場所にいつの間にかいるという症など、様々な症状があります。

 

解離とは、本来一つにまとまっている自分自身をまとめる能力が一時的に失われてしまう状態のことを言います。結果として、記憶の一部が抜け落ちてしまったり、感覚の一部がなくなってしまったり、近くの一部がなくなってしまったりします。

 

これらの症状は、自分の辛い体験自分から切り離そうとするための自己防衛反応の一種として起こるとされています。解離性障害は、DSM-5(アメリカ精神障害の診断・統計マニアル)では主に以下の4つに分類されます。

 

①解離性同一性障害

 

いわゆる多重人格と呼んだ方が分かりやすいという方も多いでしょう。複数の人格がその人の中に存在して、人格ごとにそれぞれの性格や記憶を有するというものです。記憶がつながっていなく、性格も変わってしまうために生活に大きな支障をきたす場合も多くあります。これは通常の物忘れでは説明を付けることができないとされている。

 

②解離性健忘

 

心的なストレスの結果として、その期間の出来事や記憶をなくしてしまうものです。これも通常の物忘れでは説明を付けることができないとされています。この記憶がない状態は、多くは数日のうちに記憶がよみがえりますが、時には長期間に及ぶ場合もあります。また、どこか遠くに失踪して新たな生活を始めてしまうという場合もあります。

 

③離人感・現実感消失障害

 

離人感とは、自分を外から眺めているような感覚、いわゆる幽体離脱のような感覚と、現実感消失とは、現実を夢に見ているように非現実的に感じる感覚を覚えるものです。知覚の変化、時間感覚の歪みを感じたり、夢のような、霧がかかったような体験をすると言われています。このような感覚が薬物などによるものの効果によらないとされています。

 

④他の特定される解離性障害

 

先に挙げた解離性同一性障害、解離性健忘、離人感・現実感消失障害の診断を満たさない解離性障害の場合にこちらの診断名を付けられる。例えば、宗教による洗脳や長期間の監禁などによる解離症状の場合こちらの診断が付けられることがあります。

 

解離性障害の原因

解離性障害の原因としては、様々なストレスや心的外傷体験が関係していると言われています。災害や事故、事件など一時的なものや虐待やDVなどの長期的な要因によって起こる場合もあります。これは、辛い体験によるダメージを避けるために、緊急的に自分の一部を切り離すためと言われています。

 

また、解離性障害の人は、幼児から児童期に強いストレスを受けている場合が多いとされており、学校におけるいじめ、家族からの身体的虐待、心理的虐待、性的虐待、ネグレクトなどが主要な要因として上げられています。

 

解離性障害の実際!?

 

解離性障害がどのような症状でどのような経過を辿るのかというのを仮想のケースを紹介して見ていきたいと思います。

20代の女性の解離性障害のAさん。Aさんは幼少期より父親から性的な虐待を受けて育って来ました。中学生の頃からリストカットや自殺未遂を繰り返すようになり、その頃から時折、記憶が途切れることがあり少し気にしていました。高校生になり、友達から昨日は別人のようだったと指摘されましたが、Aさんは昨日の記憶があいまいでよく覚えていませんでした。高校卒業後に働き始めてから強いストレスを受けると、記憶が多く抜けることが増えてきました。自分の症状について、インターネットで調べると解離性障害というものにいきつきました。そして精神科のクリニックを受診して、解離性障害の診断を受け治療を行うことになりました。

 

架空のケースですが、これが解離性障害の方がたどる症状の経過としては一般的なものとしてご紹介させて頂きました。それでは、次に解離性障害の治療について見ていきたいと思います。

 

解離性障害の治療の仕方!?

 

解離性障害の治療について見ていきたいと思います。解離性障害の治療にまずは大切なのは、解離性障害の患者が安心できる環境を整えることにあります。身の危険を感じて起こる場合が多い、解離という症状を、身の危険を感じる状態で治療することはできません。

 

解離性障害の治療を行っていく上では、本人が安心できる環境、人間関係から始めていくというのが大切です。解離性障害の状態によっては、このように安心できる環境や人間関係のみで自然に解消されるという場合も多くあります。

 

①薬物療法

解離性障害を根本的に治療する薬はありません。しかし、解離性障害の症状から来る抑うつ症状など付随する症状に対してであれば、薬物療法は効果があるかもしれません。どのようなお薬を飲んでいくのかは主治医と相談できると良いでしょう。

 

②心理教育的アプローチ

解離性障害の理解というのが世間では実はあまり進んでいないのが現実だったりします。多重人格を面白可笑しく言われてしまったり、演技だろうと言われてしまうこともあります。このような心無い言葉が実は当人を傷つけて、症状を悪化させてしまう場合も多くあります。そのためにも、当人と当人を支える家族や友人などに解離性障害がどのようなものであるのかというのを知ってもらう心理教育的なアプローチもとても大切になっていきます。

 

③トラウマケアや認知行動療法などの心理療法

解離性障害は何らかの心理的な傷、いわゆるトラウマに起因するとお話しました。そのためEMDR(眼球運動による脱感作と再処理療法)と呼ばれるトラウマケアの方法や、PE療法(長時間暴露療法)と呼ばれる認知行動療法の方法の有効性が示されています。この他にもブレインスポッティングやTFTと呼ばれるものも効果が規定されています。

 

解離性障害のまとめ

 

今回は、埼玉県さいたま市緑区のJR武蔵野線東浦和駅徒歩1分でカウンセリングを行う臨床心理士・公認心理師の筆者が、様々な心の傷の結果、自分が自分であるという感覚がなくなってしまうという解離性障害という心の病についてお話させて頂きました。

 

今回のまとめで十分に紹介しきれなかった部分もありますので、それはまた別の機会に解離性障害の症状別に詳しくお話できたらと思います。

 

今回のまとめを読んで疑問に思われた点や、もしかしたら自分が解離性障害なのではないかと思われた方、解離性障害の方にどのように接したらよいか相談したいという方は、是非当カウンセリングオフィスのカウンセリングをご利用してみて下さい。

 

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